FXと外貨預金の違い
FXも外貨預金も、外貨で資産を運用するという点では同じです。しかし、手数料の面でこの2つを比較するとFXがお得です。少しの差であれば、それほど気にする必要はありませんが、もし30万円を運用するなら1回の飲み代くらいの差が出ます。
それでは、100万円を運用する場合、外貨預金とFXではどれくらい取引コストが違うのか検証してみましょう。
「片道1円」は安く聞こえるけど…
ある有名銀行でドル預金をすると、為替手数料は片道1円です。「片道」とは円をドルに換える時の手数料ですが、出金をする時にはドルを円に戻さなければいけないため、行きと帰りの往復で1ドルあたり2円の手数料がかかります。
為替手数料が往復2円(片道1円)ですので、この銀行のドルのTTSを1ドル=100円、TTBを1ドル=98円とします。「TTS」は円を外貨に換える時の為替レート、「TTB」は外貨を円に換える時の為替レートで、外貨預金ではこのように2つのレートが提示されます。
100万円でドルを買うと、1,000,000÷100円=10,000ドルです。このドルを円に戻すと、10,000ドル×98円=98万円になり、ついさっきまで100万円だったのが98万円に減ってしまいました。この2万円の差額が為替手数料です。片道1円と言われても、あまりピンとこないかもしれませんが、実際にいくら手数料がかかるか計算をしてみると、意外と大きな金額になります。
買値と売値の差が大きいほど、手数料が高くなる
FXでは、取引手数料とスプレッドの2つの手数料がかかります。取引手数料は1回の取引に対してかかる手数料で、スプレッドは外貨を買う時と売る時の為替レートの差です。外貨を買う時の為替レートを「Ask」、外貨を売る時の為替レートを「Bid」と呼びます。
ある大手のFX専業会社で、100万円でドル/円をレバレッジ1倍で買うとします。取引手数料は1万通貨あたり片道300円、スプレッドは2銭です。
スプレッドが2銭ですので、Askを1ドル=100.00円、Bidを1ドル=99.98円とします。100万円でドルを買うと、外貨預金と同様に、1,000,000円÷100円=10,000ドルのポジションを持ちます。決済すると、10,000ドル×99.98円=999,800円になるので差額は200円、これに取引手数料の往復600円を加えれば、取引コストは合計800円です。外貨預金の手数料2万円と比べると、ずいぶん低いことが分かります。

外貨預金とFXの取引コストの差が大きく異なる要因は、為替レートの買値と売値の差です。FXは2銭であるのに対し、外貨預金はその100倍の2円ですから、外貨預金をするということは、100円の缶ジュースを1万円で買っているようなものです。少しでもお金を増やしたいと思って投資を始めても、手数料を取り戻すのに精一杯になってしまったら本末転倒です。
金利に注目!見えないところで手数料が取られている
さて、外貨投資にはもう1つ見落としがちな重要な手数料があります。(次ページへ続く)