メルトダウンの危険性が遠のいた
早いもので今年ももう5月である。そうこうするうちに上半期が終わってしまう。
ここに来て豚インフルエンザ(新型インフルエンザ)が出るは、クライスラーは破綻するは、想定内、想定外を含めて相変わらずいろいろな事件が起こり「世界経済の泣きっ面に蜂」かと思いきや実はそうでもない。

4月22日にIMFは世界経済見通しを大幅に下方修正した。また来年についても今年よりはマシであるが依然としてきびしい見方をしているが、これはあまりにも悲観的ではありはしないか。

上記IMF見通し以外にも、つい最近でもエコノミストは言うに及ばず、いまだに厳しい経済・財政見通しを述べる政策当局者は多い。
ところが実はすでに2月には中国の胡錦濤主席、温家宝が景気回復の兆しについて言及していた。その後オバマ大統領、サマーズ、ボルカー両経済チーム幹部、各国政府中銀の中でも来年度の景気回復を示唆するばかりか、今年後半の景気回復期待すら出始めていた。
事実3月中旬からすでに米国はじめ世界的に株価が大幅に値を戻し、金融市場で懸念されたような「世界経済メルトダウン」の危険性は遠のいているように見受けられる。やはり政府、金融当局はデータをよく把握していると言うことであろう。
現在一番景気を悲観的に見ているのは、日本と豪州の当局ではなかろうか?
とくに白川日銀総裁は極度に慎重な見方をしているが、これはバブル崩壊時に「バブルの息の根を止める」と豪語して利上げを敢行した当時の三重野総裁や2000年8月のそごう破綻時にゼロ金利解除をして景気の腰を折った当時の速水総裁、ゼロ金利解除に走った福井前総裁の前例が身に滲みているのであろうか。ただ豪州当局(政府、RBA)については過剰な悲観論の根拠に今ひとつ納得できない部分はある。
やはり米国が牽引する
今回のサブプライム問題に端を発する世界危機の中にあって、大きな救いは米国がオバマ新政権にスイッチしたことであろう。(次ページへ続く)