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ドルを捨てた投資家はどこへ向かうのか 「金融危機以後の世界経済を占う」

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2009/05/23 10:00

 株式市場が世界的に回復傾向にあり、今までの沈滞ムードがうそのようですが、この回復ははたして本物でしょうか。投資家のドル離れでドルが基軸通貨としての信頼を失った時に、リターンを求めて資金がどこへ流れていくのか、注目です。(バックナンバーはこちら)

鍵を握る絶対リターン投資家の行方

 市場が本格的に回復しています。米国では株式市場が3月上旬の底値から約30%上昇、社債市場に資金が流入し新規の社債の発行が増加、原油価格も 1バレル60ドルを突破しました。

 今までの沈滞ムードがうそのような急回復に沸き帰るマーケットですが、この回復は本物なのか、隠れたリスクがあるのかが気になる所です。今回は、その鍵を握ると思われる絶対リターン投資家について説明します。

 昨年9月のリーマンショックを皮切りに始まった今回の市場の大暴落ですが、3月上旬に底を打ったと考えています。何が変わって今回の急回復をもたらしたかを考えてみました。

企業の倒産リスクは国が保護

 今回の金融危機では、金融業と不動産業という今までバブルで潤っていた2つの業界が大きな影響を受けました。これらの業界に生じていた倒産リスクを、国がほぼ丸呑みという形で飲み込みました。

 米国では、TARPという制度を利用し、民間の金融機関に資本を注入しました。また、政府系住宅ローン提供機関であるファニーメイやフレディマックに対しては財務省が直々に資本注入を行い、中央銀行であるFRBは商業用不動産を担保とした証券化商品を担保として資金を市場に貸し出しています。

 つまり、不動産が値下りすることによって発生する将来の損失リスクをすべて国が引き受けてしまいました。これによりダウンサイドが限定され、市場が正常化したと言えると思います。

 英国や欧州でも同じような方針で政策対応が進んでいます。英国では、英国財務省が国債や不動産を担保とした証券化商品の買取りを積極的に行っています。

 欧州内では、ドイツなど不良債権対策を積極的にすすめる国とそうでない国に分かれるものの、中央銀行であるECBが最終的に対応するという見方から落ち着いた動きを見せています。

 日本では、元々金融機関の損失が大きくなかったため政府が直接資金の供給に乗り出してくることはありませんでしたが、日銀の社債買い取り、各種針葉保証枠の提供、大型の補正予算などの対策をとることにより、企業の倒産リスクの拡大を防いでいます。

国の倒産リスクはIMFが保護

 今回の金融危機では、海外からの資金に頼っていた国が危機に陥りました。アイスランドを筆頭に、東欧、中央アジアの多くの国が資金難に陥り、IMFからの資金供給を受ける結果となりました。(次ページへ続く)


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著者プロフィール

  • 課長 今調査役(カチョウ イマチョウサヤク)

    大学院で物理学を志すも途中、島耕作にあこがれ金融業界へ。本職は債券市場と計量分析のアナリスト(自称調査役)であるが、お金の流れを追う過程でマクロ経済、株式、商品、アセットアロケーションなどを学び、株の銘柄選択以外すべてに通じるマルチアセットアナリストとして、多方面で活躍(予定)。日本人として日本人の資産をいかに有効利用するかを生涯の目標とする。
    好きな言葉 「潮が引いたとき、誰が裸で泳いでいたかがわかる」

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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