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インターネット時代に砕け散った「長期投資は株式」という概念

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2009/06/27 09:00

 今回は株式市場に焦点をあてます。長期投資の基本として考えられている株式投資ですが、1990年以降の日本株式、2000年以降の先進国株式を見ると、長期の株式投資はうまくいっていません。株式市場で何が起こり、今後どうなっていくかを考えます。(バックナンバーはこちら)

「長期投資は株式」だった理由

 長期投資は株式――これは投資の基本としてまず最初に教えられることです。どこからそのような考え方が出てきたのでしょうか。また今もその環境が成り立っているのでしょうか。

 まず一番の根拠となったのは、長期の実績リターンです。株式市場はリスクがあるものの、無リスクの預金金利より高いリターンを提供してきました。そうした実績によって「株式投資によりリスクをとってリターンを求める」ことが正しいものとして考えられるようになりました。

 ところが、最近の株価の下落によって、長期の実績リターンは大きく下がりました。また、さらに長い視点で見ると、「戦争」で被害を受けると株式は紙切れになってしまうことがわかります。「戦争で被害がなかったから米国株式市場は優れた投資先であった」という事実も合わせて再認識する必要があるでしょう。

 将来、株式投資が本当に他資産に比べて優れたリターンを提供することができるか、議論が必要になっています。

国債を上回るリスク・リターン

 株式市場は、預金金利を上回るだけでなく、他の投資資産、とくに国債に対して優れた「1リスク当たりリターン」を提供してきました。

 つまり、同じリスクをとった場合、国債投資よりも株式投資のリターンが高かったということで、このことが「リスクをとるなら株式で」という理由の1つになってきました。

 ところが近年投資に関する環境が大きく変わってきました。以前は「国債」と「株式」しか大規模に投資可能な市場は存在しませんでしたが、近年投資環境の整備が著しく進み、「社債」「不動産」などの新たな投資先が市場に加わりました。

 民間の経済活動の象徴である「株式」が非効率な国の経済活動を示す「国債」よりリターンが優れていることは理解できますが、同じ民間の経済活動である「株式」と「社債」でどちらのリターンが優れているかと聞かれると答えに窮します。市場の拡大により、「株式投資が一番良い」と言える時代ではなくなっているのです。


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著者プロフィール

  • 課長 今調査役(カチョウ イマチョウサヤク)

    大学院で物理学を志すも途中、島耕作にあこがれ金融業界へ。本職は債券市場と計量分析のアナリスト(自称調査役)であるが、お金の流れを追う過程でマクロ経済、株式、商品、アセットアロケーションなどを学び、株の銘柄選択以外すべてに通じるマルチアセットアナリストとして、多方面で活躍(予定)。日本人として日本人の資産をいかに有効利用するかを生涯の目標とする。
    好きな言葉 「潮が引いたとき、誰が裸で泳いでいたかがわかる」

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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