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エンタメ潮流コラム「ゲーム業界の常識を打ち破れ」

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 DSのゲームは「すぐに飽きられるのでは?」という意見は2004年12月2日の発売前からあったが、実際にはヒットし、結果的に任天堂はゲーム人口を拡大させた。今回は任天堂のとった戦略を検証し、これをゲーム業界へ投資する際の材料としたい。

「ゲーム離れ」から「ゲーム人口の拡大」へ

 数年前までは、日本のゲーム市場は中期的にダウントレンドとなり、「ゲーム離れ」といわれていた。しかし、06 年には市場規模は6,799億円と大幅に増加し、大きな転換点を迎えたと筆者は判断している。これは、ニンテンドーDSのヒット、任天堂のゲーム人口の拡大戦略が奏功したと考えているためである。

日本のゲーム市場の推移(出所:CESA白書、単位:億円)

 この「ゲーム離れ」と「ゲーム人口の拡大」の関係は以下の通りであると考えられる。以下の図のように、ゲーム市場を構成するユーザーを上方にいくとヘビーユーザー、下方ではライトユーザーとすると、ユーザー数は灰色の三角形の面積で示せるだろう。白色部分はゲームユーザーではない消費者を示す。

「ブラックホールの罠」理論とゲーム人口の拡大(岡三証券作成)

 操作が複雑で、画像が高精細な「重厚長大」なゲームのポジショニングは上方に位置すると考えられる。「重厚長大」なゲームをブラックホールとしたのは、「エッジが効いた」タイトルでユーザーを強い魅力で惹きつけることや、画像が高精細で開発費=お金を吸収するからだ。

 ここでは、個々の「重厚長大」なゲームについて議論しているわけではなく、ゲーム市場に「重厚長大」なタイトルの割合が高まった場合のゲーム市場全体への影響について説明している。個々の企業にとっては、「重厚長大」なゲームは安定的なファンが存在するケースが多く、安定的な収益源になることもあろう。そして、シリーズ化することで長期的に安定した収益を確保することも可能になろう。

ライトユーザーにそっぽを向かれてしまう

 しかし、市場を構成するタイトルが「重厚長大」なものばかりになってしまうと、ライトユーザー、つまりゲームをしない人からは遠い存在となり、図の灰色の三角形部分は上方に引き上げられる。すなわち、ユーザー数は減少し、ゲーム離れが進むことで、市場は縮小することになろう。

 その結果、安定的な販売本数を確保できるような一部のタイトルを除いて、新規タイトルは伸び悩む状況となる。一方で、安定的な販売本数を確保できるシリーズタイトルであっても、開発費の上昇から収益性が悪化することになり、産業全体としてみれば、ブラックホールに吸い寄せられるようにネガティブスパイラルに陥る可能性が生じる。

 この「ブラックホールの罠」理論に基づけば、任天堂の「ゲーム人口の拡大」の方向は「重厚長大」なゲームとは全く異なるベクトルを持っているといえる。具体的にニンテンドーDSでのケースで説明してみよう。


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本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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