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【財務諸表が読める・わかる】 倒産の兆しも・・・日本綜合地所の財務諸表をチェック

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2009/07/13 09:00

 今年2月に会社更生法の適用を申請した東証1部上場の日本綜合地所。その財務諸表には倒産の兆しが出ていたのだろうか。

日本綜合地所の財務諸表を見る

 今回見ていくのは、日本綜合地所株式会社(証券コード:8878)の平成20年3月期(平成19年4月1日~平成20年3月31日)の財務諸表です。この会社の主な事業内容は、不動産、特にマンションの販売です。

 ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、この会社は、その後倒産し(平成21年2月23日会社更生手続開始決定)、上場廃止になりました(平成21年3月6日)。今回はそうした点を念頭に置いて(財務諸表に倒産の兆しが表れているのか否か?)、財務諸表を見ていきましょう。

損益計算書を見る

 それでは、まず損益計算書を見ていきましょう。

 まず売上高118,933,479千円に対して売上原価が88,915,922千円で、売上総利益は、売上高118,933,479千円-売上原価88,915,922千円=30,017,556千円となり、売上高売上総利益率(売上総利益/売上高×100)は25.2%です。これは決して高いとは言えないでしょう。

 マンションはもともと高価なものなので、価格を原価よりずっと高いものにするのは難しいはずです。しかし、それほどたくさん販売できるものではないので(少なくともハンバーガーのようには)、原価に近い価格にまで下げることも難しいはずです(販売費及び一般管理費をまかなえなくなる)。売上高売上総利益率25.2%は、そうした点を検討した上での数値なのです。

 次に販売費及び一般管理費が16,218,146千円発生し、営業利益は、売上総利益30,017,556千円-販売費及び一般管理費16,218,146千円=13,799,409千円となり、売上高営業利益率(営業利益/売上高×100)は11.6%となりました。決して低いとは言えませんが、売上高売上総利益率の半分以下になりました。

 販売費及び一般管理費のうち最も額が大きいのは広告宣伝費で、6,673,416千円です。そう言えば、この会社のマンションのコマーシャルをよくテレビで見た記憶があります。マンションは原価自体も高いのですが、販売するためにもかなりお金がかかるようです。購入する気になってもらうのは、かなり大変なはずです(少なくとも筆者の感覚では)。

 営業外収益と営業外費用を見ると、営業外費用の中の支払利息の額の大きさが目立ちます。借入金の額がかなり大きいようです。売上高営業利益率は高めでしたが、営業外収益よりも営業外費用の方がずっと大きく、経常利益は、営業利益13,799,409千円+営業外収益368,803千円-営業外費用3,602,781=10,565,432千円となり、売上高経常利益率(経常利益/売上高×100)は8.9%と、売上高営業利益率よりも低くなりました。

 特別利益は308,851千円、特別損失は1,442,136千円発生して、税金等調整前当期純利益は、経常利益10,565,432千円+特別利益308,851千円-特別損失1,442,136千円=9,432,147となりました。「税引前」ではなく「税金等調整前」当期純利益なので、これから税金の他に少数株主利益を引くはずですが、その下を見ても見当たりません。この会社には子会社があり、この財務諸表は連結財務諸表なのですが、実は少数株主がほとんどいないため、少数株主利益を引いていないのです。

 そして、税金等調整前当期純利益から税金を引くと、当期純利益4,646,720千円になるのですが、今回はこの税金の額について説明します。法人税、住民税及び事業税4,954,513千円から法人税等調整額169,086千円を引いて、4,785,426千円となっています。この平成20年3月期に実際に課されているのは、法人税、住民税及び事業税4,954,513千円です。それから法人税等調整額169,086千円を引いているのですが、これは税効果会計と言って、税金の額を利益に対応する額に調整しているのです。

 実際に課される税金の額は、利益にさまざまな調整をした額をもとに計算するため、利益に対応した額になっていません。そのため、このように法人税等調整額を足したり引いたりして、利益に対応する額に調整します(「法人税等調整額/繰延税金負債」や「繰延税金資産/法人税等調整額」という処理(仕訳)を行う。繰延税金負債は負債に、繰延税金資産は資産に計上)。

 しかし、足して終わり、引いて終わりではなく、足した額は将来引き、引いた額は将来足すことになります(当期に「法人税等調整額/繰延税金負債」という処理を行ったら、将来「繰延税金負債/法人税等調整額」という処理を行う)。課される税金の額が利益の額に対応していないというのは、あくまでその期の利益に対応していないというだけで、両者のズレはいつかは解消されることになるのです(長い目で見れば、対応することになる)。


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