株が上がれば雇用も増える
もうすっかり聞かなくなったが、その昔「リエンジニアリング(reengineering)」という経営の見直しが、アメリカの大企業の間で大流行したことがある。
「リ(re)」とあるように本来の意味は再設計し直すである。組織のあり方や手順を根本的に見直し、組織はもちろん職務、業務の流れ、管理、情報システムなど、企業全体を再設計し、最終的に顧客に対する価値を生み出すための改革と言われている。
1980年代に日本の製造業にこてんぱんにやられたアメリカが、いかに日本勢に対抗するか、そのための手法としてまず再設計しようという動きが「リエンジニアリング」であり、1993年に「リエンジニアリング」という本が大いに売れた記憶がある。
もちろん早速読んでみたし「百聞は一見に如かず」とばかりに、モトローラ、GMなど多くの企業も実際に訪問して担当者たちから話も聞いたのだが、モトローラの幹部が「日本なみの品質管理の域に達するには、月に行くくらい難しい」とぼやきながらも、ブルーカラーの女性を幹部に登用したり、社員の意識改革に必死に取り組んでいた姿が印象的だった。(GMはその後変われなかったのだろう)

リエンジニアリングの効果
企業がリエンジニアリングに精を出せば、当然人員カットは避けられない。そのため購買や広報、総務といった部署を廃止し、アウトソーシングする企業も多く、職を失った社員の多くは専門を生かして各々が起業する動きが拡まった。
いわゆるベンチャー ビジネスやスモール ビジネスが続々と生まれたのである。(次ページへ続く)