MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

富裕層のウソとデマにだまされるな
お金持ちは決して下流に同情しない

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 お金持ちは平気でウソをつき、お金持ちのタニマチは、本当のようなデマを流す。下流の人たちは疑いもなく信じて、同情さえするが、お金持ちは決して下流には同情もしないし、情けもかけない。そのカラクリを明らかにしよう。(バックナンバーはこちら)

「景気が底を打った」というデマ

 これまで、富裕層の特集を連載してきたが、「本当に彼らの提唱する論理や言い分は正しいのであろうか?」という疑問がわいてきた。どうも自分たちが有利になったり、自分たちだけが得をする理論を誘導しているのではないか。

 そんな疑問の中で、突然にリーマンショックが起こり、国民が苦しんでいる反面、富裕層向けのマーケットは相変わらず盛況を博していた。そして現在、国民経済も大不況からようやく回復しつつあるようだ。

 日本政府は、景気について「底を打った」と宣言している。本年6月27日に、与謝野経済財政担当相が、「底打ち宣言」したが、それは正しい判断ではなかった。案の定、その宣言から半月後、6月30日に発表された政府統計では、雇用の状況が一団と悪化していることがわかった。

 有効求人倍率は0.44倍と過去最低で、特に「正社員」の求人は、0.24倍と休職者の4人に1人しか求人がない状態である。そのうえ、完全失業率は5.2%となり、過去最低だった5.5%に迫りつつある状況だ。

 では、政府はなぜ底打ち宣言をしたのか。与謝野大臣によると、「輸出や生産などのグラフが上がり始めた」からだという。確かに、5月の鉱工業生産指数は3ヵ月連続で上昇して、自動車や電子部品などの生産が持ち直していた。

 しかし、その裏側には、いろいろな側面があり、短絡的に景気底打ちの判断ができる状況ではなかったのだ。例えば、2002年2月から始まり、いざなぎ景気を超えたといわれ、2007年10月まで続いたとされる、戦後最大の景気拡大局面では、大企業があのバブル期の2倍以上の儲けを上げたにもかかわらず、労働者の賃金はほとんど増えなかったのである。

 利益のカラクリは、正社員を派遣社員に置き換えて、賃金や部品などの単価を抑えることで、輸出企業が大儲けしたというのが実態である。

 その後、2008年の秋口には、ご存じの通りリーマンショックが起きて、派遣切りやリストラが横行し、正規非正規にかかわらず労働者を踏み台にして、立ち直ろうとしているのだ。

 これは、人件費がグローバル企業の成長の足を引っ張っており、それを削減することで、企業の経営が安定するという経済理論によっている。

 経済改革論者(自由経済論者ともいえるが)は常に、国際競争力を保つためには、固定費を最小にして配当をより多くすることで、株主も納得して、企業の国際的な評価も高まり、ますます資金も集めやすくなると説く。こうして、小泉改革など一連の経済改革が断行されてきたのだが、はたしてこれは真実なのだろうか。

「人件費が経営を圧迫している」というデマ

 日本の自動車メーカーを例にとって見てみよう。トヨタやホンダ、日産、スズキの売上高に対する人件費の割合は、ほぼ1割程度である。

 この点は、ソニーやパナソニックといった電機メーカーも同様だが、ここで言いたいことは、たとえ人件費が2倍になっても、企業の経費は10%程度増加するだけで、企業の負担自体はそれほど大きくはならないということだ。

 では逆に、人件費を大幅に削るとどうなるだろう。(次ページへ続く)


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5