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1オンス1000ドルの金価格が示すオバマ政権の苦境

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2009/09/22 09:00

 米ドルが再び下落し、金価格が1オンス1000ドルを突破しました。ドル安と金価格の上昇を引き起こしている今の状況と今後の展開を考えます。(バックナンバーはこちら)

商品への投資規制が米ドルの致命傷へ

 FRBは政策金利の引き下げや資産買取政策などの積極的な金融緩和をすすめています。金融緩和の代償として、米ドル建て資産の期待リターンは下がり、米ドルを持つ意味が低下してきました。そんな中、CFTC(全米商品先物取引委員会)が商品市場への投資規制を開始しました。

 連載第32回で示した株式リターンの低下と同様に、債券を中心とした米ドル資産の期待リターンは低下の一途を辿っています。

 金融機関が選好する国債または高格付けの社債の利回りは、4%を割りこんでいます。まだ比較的利回りの高い低格付けの社債やREITに、リスク許容度の高い個人やヘッジファンドの資金が流入しています。

 資産運用において一番重視されるものは、「利回り」です。利回りが下がってしまえば、米ドルといえどもただの紙切れ同然なのです。

商品への投資規制により、米ドルからの資金シフトが加速

 米ドル建て資産の利回りが低下する中、投資家の利回りを補填する役目をしていたのが、原油や銅といった商品でした。

 これらの商品はドル建てで取り引きされており、ドルが安くなれば商品の値段があがり、ドルが上昇すれば商品の値段が下がるという動きをしているため、産油国や資源国といった大口の米ドル保有者を米ドルの変動から守る役割を果たしてきました。

 ところがこの商品市場に、CFTC(全米商品先物取引委員会)が規制を始めました。2008年の原油ならびに商品価格の上昇、それによるガソリン価格高騰などの経済への悪影響を教訓に、CFTCは商品市場への投機資金の制限を目的としたポジション規制を導入しました。

 ドル安をヘッジする「商品先物」という手段を断たれた資金は、高い利回りと米ドル安から回避を求めて移動を開始します。資金の向う先は3つあり、1つめは、ポジション規制にかからない形での商品現物の購入、2つ目は規制のかかっていない金、銀などの貴金属、3つ目は米ドル以外の資産です。(次ページへ続く)


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著者プロフィール

  • 課長 今調査役(カチョウ イマチョウサヤク)

    大学院で物理学を志すも途中、島耕作にあこがれ金融業界へ。本職は債券市場と計量分析のアナリスト(自称調査役)であるが、お金の流れを追う過程でマクロ経済、株式、商品、アセットアロケーションなどを学び、株の銘柄選択以外すべてに通じるマルチアセットアナリストとして、多方面で活躍(予定)。日本人として日本人の資産をいかに有効利用するかを生涯の目標とする。
    好きな言葉 「潮が引いたとき、誰が裸で泳いでいたかがわかる」

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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