MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

通貨切り下げ競争に日本が出遅れるなら

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2009/11/16 09:00

 通貨切り下げに関しては、米ドルと米ドルに実質的にペッグしているとされる人民元やインドルピーに加えて、韓国ウォンなどは、結果としてユーロや円に対して大きく切り下げられた状況といえます。自国の通貨に対して他国が通貨切り下げを行っている場合には、どのような影響が考えられるのでしょうか。(バックナンバーはこちら)

韓国ウォンなどはユーロや円に対して大きく切り下げられた状況

 コラムのタイトルから、「世界恐慌の後に、通貨切り下げ競争とこれに対抗してブロック経済化が進んだ」と歴史の時間に習ったことを思い浮かべた方もいるかもしれません。

 今のところ、一部では通商問題が発生しているものの、幸いにしてブロック経済化の動きは顕著ではないようです。しかしながら、通貨切り下げに関しては米ドルと米ドルに実質的にペッグしているとされる人民元やインドルピーに加えて、韓国ウォンなどは、結果としてユーロや円に対して大きく切り下げられた状況といえます(どこまで意図的なものかは判断が分かれるところですが)。

他国が通貨切り下げを行っている場合の影響

 もし「近隣窮乏化政策」に有効な対策が採られなければ通貨切り下げで外国への輸出を増やすのは、古典的な「近隣窮乏化政策」とする見方があります。

 その意味では、2005年からクラッシュ前までは円安を放置することによって日本も輸出増による景気浮揚のメリットを享受できていた訳で、今は他国がそういった状況にある(あるいはそういう政策をとっている)ともいえるかもしれません。

 なお、(相手国の政治的な目的がそうではなくても)自国の通貨に対して他国が通貨切り下げを行っている場合には、以下のような影響が考えられます。

・輸出産業の海外移転と国内サービスの海外発注への切り替えが進む
・内需産業の多く(農業、漁業、製造業、ソフトウェア産業など)が輸入品の打撃を受ける
・上記の結果、国内の景気が悪くなり、失業率が上昇し、財政状況が悪化する
・デフレ状態が続き、外国に主要企業や技術が買い叩かれてしまう

 これが続いた場合に想定されるあまり良くないシナリオは、何年後かに企業も国も弱りきってから自国通貨が自然に弱くなっても、残っているものは産業ではなく巨額の財政赤字だけというものです。

 一方、米ドルにペッグ(自国通貨と交換比率を一定に保つ)している国々は、米ドル安のメリットを受けて稼いだ外貨を米ドルに集中させるのは(将来対米ドルで自国通貨高になることを含め)懸念が多いと感じる可能性があります。この資金が、円やユーロに向かえば、ますます円高米ドル安になり、金、原油、外国鉱山の権益や株式に向かえば、それらの価格が大きく上昇する可能性が考えられます。

投資で身を守るには

 個人レベルで通貨政策を議論しても、できることには限界があります。一方、実質的な通貨切り下げが行われているなら、逆を言えば円の購買力は「少なくとも今は高い」可能性があります。そこで、個人でできる対応を考えてみると、以下のようなものがあると思われます。

・中国やインドなど実質的に米ドルペッグとなっている国の株式や、その国に資産や子会社を持っている先進国企業の株式に投資する
・米ドルの将来に不安があったとしても通貨安を補うリターンを期待できる可能性がある割安な米国株式を探して投資する
・(円が現在割高だと思うなら)なるべく円以外の通貨に投資し、リスクを分散する
・将来通貨が対円で上昇すると思われる国(韓国や中国など?)への海外旅行に今のうちに行っておく

 なお、「日本国内の資金を外国に流出させることはけしからん」という意見も持つ方もいるかもしれません。しかしながら、日本円が現在実力以上になっている(させられている)と思うのであれば、資金ニーズが相対的に限られている日本国内で投資先を探すよりも、外国に投資してリターンを得るとともに、自国通貨高是正とその結果国内に仕事を残すことに少しでも貢献することの方が、お金の使い方としては有効という考え方もできるのではないでしょうか?

 さて次にテーマを変えて、投資の集中と分散について考えてみましょう。(次ページへ続く)


  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5