次の公募増資ラッシュは来年「2月」が有力
地獄の公募ラッシュも峠を越え、ひとまずは落ち着きを取り戻した株式市場。メガトン級といえる三菱UFJの1兆円増資が正式発表された翌日に、日経平均株価は安値から330円も急騰した。
翌日以降も急ピッチのリバウンド相場を演じたことからも、11月の日本株出遅れの背景には「ファイナンス(公募増資)・ラッシュ」があったことは間違いないといえるだろう。
次のファイナンス・ラッシュだが、ある国内証券の機関投資家セールスによれば「12月はクリスマス休暇による外国人投資家不在で小休止となり、年明け1月も第3四半期決算前のサイレント期間で空白シーズンと考えられる」という。
よって、2月初旬(早くても1月下旬)にリリースされ、2月中旬以降に実施されるというスケジュールが最有力シナリオなのだそうだ。その先の3月後半になると、決算期末で発行体や機関投資家とも見送るシーズンとなるため、「2月」をファイナンス・ラッシュの次のターゲットと見据えておけばよい。
市場関係者の間で噂されるところでは、メガバンクではみずほFG、三井住友FGのほか、ハイテク大手(世界的に有名な総合家電大手など)、海運、総合商社の一角、さらにREITのファイナンスなどの名前が挙がっているようだ。
あとは、来年春(4月1日?)に上場予定の第一生命。これも公開規模が1兆円クラスになるといわれており、近年例を見ない巨大IPOである。観測通りに発表されるならば、この時期も巨額なファイナンス(&1兆円IPO)で相場が崩れるパターンにはまってしまう可能性は高いだろう。
相場も落ち着き、外資系ではクリパ復活!
「一難去って、また一難」といった来年の相場展望ばかり脳裏に浮かぶが、株式市場を取り巻く市場参加者においては、「ひとまず最悪な年越しにはならずに済みそう」という(昨年が最悪だっただけに)。
外資系証券でも、米系証券中心に豪華なクリスマスパーティーが復活するようだ。パーティー中のくじ引きではペアの海外旅行や高級家具なんて商品もあり、会場も東京の超高級ホテルと、うらやましい限りである。
潤っているのは海外勢だけではない。国内の大手証券でも、一部情報筋によれば「冬のボーナスが前年比で6割アップというところもあるようだ」とのこと。もちろん、前年が少なかった反動という側面も大きいのだが。
一方で、国内勢においては、「ボーナスゼロのところもあった」といい、まだ温度差はある様子。なお、株式市場をファンナンスで翻弄した元凶といわれている某国内大手証券は、今回の冬のボーナスは極限まで削れられるようだ。
とはいっても、1兆円規模の超大型ファイナンスから、ファイナンスしなくてよさそうな大企業のファイナンスまで乱立させ、三菱UFJ、日立など大物どころの主幹事を務めた同証券のことである。この時期のファイナンス特需で引受手数料収入は急増しており、「来年の夏のボーナスは、大反動で破格の金額になりそう」との声も聞かれる。
「アローヘッド」導入で、板酔い注意報!
さて、今年も残りわずかとなり、市場関係者同士での忘年会が至るところで開催されている。ビールを酌み交わしながら、あちこちの忘年会で話題に花を咲かせているのが「アローへッド(arrowhead)」である。(次ページへ続く)