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自動車まで販売する過疎地の巨大スーパー
利益を追わない非効率経営でも高粗利のナゾ

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2010/02/07 14:00

消費低迷に苦戦を強いられている小売業界だが、あえて利益を追求せず、躍進しているスーパーがある。それが「A-Zスーパーセンター」のマキオだ。

 百貨店やスーパー、そして健闘していたコンビニまでも業績を落とし、消費低迷に苦戦を強いられている小売業界。不況という逆風が吹く中で、あえて利益を追求せず、躍進しているスーパーがある。それが九州・鹿児島県で大型ショッピングセンター「A-Zスーパーセンター」(以下AZ)を展開しているマキオだ。

 AZは阿久根店など3店舗あるが、すべて超巨大スーパーだ。2009年3月に開店した霧島市の隼人店は、面積は約38,000平方メートルと、東京ドームのグラウンド面積の約3倍を誇る。駐車場スペースも最大で7000台収容可能だ。

 広大な店内には、食料品や衣料品など、消費者が日常生活で必要とする商品はすべて揃っている。店名のAZは、アルファベットのAからZまで、どの商品も揃えていることを意味しているが、「ふんどし」や「わらじ」のようものから神仏具、自動車まで販売しているスーパーはなかなかお目にかかれない。

 年に数個しか売れない商品も揃えており、経営効率の視点では疑問が残るが、同社の牧尾英二社長は最初から利益を最優先には考えていない。売上など数字ばかり追求すると、従業員が客ではなく、会社の方ばかりを向いてしまうので「利益第二主義」を貫いている。

 それでも同社の年商は170億円を超え、薄利といわれる業界で、5%近い営業利益を確保する。過疎化が進む地方にもかかわらず、隼人店は1日あたりの来店者数は平均約3万人、阿久根店も人口2万人程度の過疎地でも集客に成功しているのだ。

 市内から離れた悪条件の立地で、かつ効率の悪い品揃えにもかかわらず、経営が好調なのは、無駄を抑え、究極の低コスト経営を実践しているからだ。

 人口の少ない地域にしか店舗を出店しないので、当然地価は安い。それが店舗開店の初期費用を大幅に削減している。加えて商品は売り場の担当者が棚の状況を見ながら、自分で仕入れるので、商品部もバイヤーも存在せず人件費も抑えられている。さらには電力の一部は自家発電したり集客のチラシも基本的に配布しないなど、その取り組みは徹底している。

 一方で顧客サービスはきめ細かい。車を運転できない高齢者らのために「買い物バス」を運行し、電話予約で自宅まで送迎する店舗もあれば、売上が順調だった時にある条件のもとでレジ精算後に5%還元したこともある。また自動車も売りっぱなしにしないで、店の隣に車検工場を併設し、収益機会を広げるなど従来のスーパーにはないアイデアを実施している。

 同店は人口減少や高齢化の中でも、社会の流れに沿った店作りをすることで商売を成り立たせる、ひとつのモデルケースとして注目を集めており、都市部の小売り店も見習う部分がありそうだ。

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