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電子マネーともにポイント急速普及
一方でユーザーに疲労感や不信感も

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2010/02/11 11:00

 電子マネーとともに近年急速に普及しているのが企業通貨といわれる「ポイント」だ。家電量販店やネットストア、航空会社のマイル、そしてクレジットカードなど、ここ数年でポイントは消費者の生活に深く根ざしたものになっている。

 しかしポイントが今後さらに普及するには、いくつか解決しなければならい壁が存在する。その1つが消費者に芽生え始めている「ポイント不信」だ。硬貨や紙幣など実際のお金のようにポイントを貯めても、発行する企業が破綻してしまうと一夜にしてポイントの価値がゼロになってしまうこともありえるからだ。

 日本航空が経営破綻した際は、上場が廃止され、株の価値が失われた。この時、多くの消費者から「JALマイレージポイントはどうなるのか」と心配する声が寄せられた。これまでコツコツ貯めてきたマイレージが無効になってしまえば、利用者には大きな損失となってしまう。

 結果的には、顧客維持のためにマイレージは保護されることになったが、今後同社が再建過程で、路線撤退や減便を余儀なくされれば、マイレージの利便性にも影響は出るのは必至だ。

 また老舗家電量販店「さくらや」は15店全店を2月末までに閉鎖すると発表した。驚いたのは同店のポイントカードを利用していた消費者たち。同社が閉店の知らせのなかで、「これまでお貯め頂いたポイント、ならびにさくらやギフト券は、お早めにご利用くださるようお願いいたします」と告知したため、翌日から同店の店頭には、ポイントが無効になってしまうのを危惧した客が、ポイント消化を目的に相次いで来店した。

 さらには消費者がポイント生活に疲れてしまう「ポイント鬱(うつ)」なる状況も一部で発生している。東京都江戸川区の主婦、嶋野沙耶さん(仮・33才)は、家電量販店のポイントカードだけで、ヤマダ電機、ビックカメラなど3枚、スーパーはイトーヨーカドーやダイエーなど4枚、ポイントのつくクレジットカードも複数枚保有している。これらのポイントカードは無料で登録でき、初回にまとまったポイントがもらえるケースもあるので利用していたが、気付くと20枚近くまで増えていた。

「最初は使い分けていたけど、最近ではネットでモノを買う際に、どのカードを使えばたくさんポイントがついてお得なのか考えるのが面倒になってしまった」と話す。ポイントカードを発行する企業からは毎日のようにキャンペーン情報がメールで届くが、そういった情報収集にも疲れてしまった。

 ポイントには有効期限があるものが多く、カードを複数持つと、それぞれの状態を把握するのは大変だ。「いまやポイント鬱状態です」と嶋野さんはつぶやく。インターネットの大手掲示板ではお得なポイント情報を追うことに疲労感を感じたユーザーによる「1%還元でいい」「もう疲れた」などのコメントが目立つ。

 一方で、カードを発行する企業もポイントによるリピーター確保が以前ほど見込めなくなっている。消費者は複数のポイントカードを持ち歩くようになっているので、顧客のロイヤリティーを高めて囲い込む戦略が行き詰っているのだ。ITの新技術を利用したポイントカードシステムを採用するにはコスト発生するのに加えて、レジではポイント処理に人件費と時間が奪われている。

 消費者と企業のどちらかがポイントカードを利用する意味を失えば、普及にも限界が見えてくる。電子マネーの拡大によって浸透したポイントシステムだが、今後も乱発が続くようだと、そのビジネスモデルにほころびが生じてもおかしくない。

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