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銀・銅メダル獲得「お家芸復活」の陰に赤字時代もスケート部を支えた日本電産社長の存在が

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2010/02/27 17:00

落ち目になったと言われる日本にも、探せば立派な経営者も多い。経済が混迷を極めている時は、経営者の手綱次第で企業はいくらでもその姿を変えるものだ。(バックナンバーはこちら)

勇将のもと弱卒なし

 バンクーバーオリンピックでは、競技の結果もさることながら、さまざまな出来事から学ぶことも多い。

 上村愛子選手のあのいさぎよい生き方は大いに清々しいし、実際に彼女のホームページを読んでみても「いまの日本にこんな立派な子がいるのか」とあらためて日本の持っている良さも味わされるし、また夢がないとぼやく若者が多いなかで、自分の夢を叶えるためにあえて国籍まで替えて頑張る女の子もいる。

 一方、男も負けてはいない。スノボーのあのとぼけた兄ちゃんは別として、スケートの銀・銅の2人の姿は、死力を尽くすとはこういうことだと教えてくれている。

 かねてより投資をして株主になるのなら、経営者をしっかり調べ理解するのがいちばん大切と唱えているが、今回のオリンピックでは図らずもこのことが証明されたのが何とも嬉しいことではある。

 今回スピードスケートの銀・銅を取った2人の所属は日本電産サンキョーの社員。そのサンキョーを立て直した日本電産の永守社長は、かねてより旧知の仲だが、とにかく仕事への情熱は半端ではない。正月休みですら元日しか休まないほど仕事に打ち込んでいることはよく知られているが、だからと言って単なる仕事人間ではない。

 M&Aを行う場合も、もともとモーター専門だから「回るもの」を作る企業に的を絞る。オルゴールを作っているサンキョーは当然ながら回るものを作る。そこを買収したのだが安易なリストラなどはまったく行わず、それどころか社長自ら現場に入り込み、泊り込みで社員の意識を変えることから始める。

 モットーは「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」であり、それを自ら実践するのだから、社員も「この社長なら何とかしてくれるだろう」と意欲も高まる。大赤字だったサンキョーもたちまち再建してしまった。

 一般的な赤字企業のM&Aだと、社会人スポーツなどはたちまちリストラされるのだが、永守社長のすごいところはスケート部は赤字の時代でも続けていたことである。

 もともと「売り上げが6割まで落ちても利益を出せる経営」をモットーにしている社長だから、目先のことより社員の志気なども考えながら再建にあたったのだろう。

「猛将のもとに弱卒なし」とはまさにこのことである。社業そっちのけで財界活動に走り勲章を欲しがる並みの経営者とは気合いが違う。だから株価も一昨年以来の高値まですんなり戻してきたではないか。(次ページへ続く)


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著者プロフィール

  • 三原 淳雄(ミハラ アツオ)

    激動する内外経済の今後を展望し、対応を説く経済評論家。1937年満州国チチハル(現・中国)生まれ。九州大学卒業後、日興證券に入社。企業派遣によるノースウェスタン大学経営大学院留学、スイス銀行チューリッヒ支店勤務などを経て、ロスアンジェルス支店長。1980年から評論活動に入る。近著に『金持ちいじめは国を滅ぼす』(講談社)など。TV東京「News モーニングサテライト」 隔週月曜日(AM5:45~6:45放送)のゲストとして出演中。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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