MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

第7回 信用取引「売り残・買い残」の使い方を基本から

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2008/01/11 16:00

「買い残高が多い時」にしてしまう投資家の誤解

 信用取引は、先ほどお話したように、お金や株券を借りて行う取引ですから、借りたお金や株券を返さなければいけません。買い残はお金を借りているわけですから、お金を返して返済します。返すお金をどのように調達するかというと、信用で買っている建て玉(たてぎょくまたは、ポジション)を売って資金を回収して返済に充当します。

 ここで、買った値段よりも価格が上昇していれば、買った値段との差額が利益となりますが、下落していた場合には、その分がマイナスですから、損失ということになります。もうここまでお話すれば、お分かりだと思いますが、買い残は将来売って返済されると考えれば、買い残高は、将来の売り要因と考えられます。また、買い残高が多ければ、将来の売りのエネルギーも大きいと考えられるのです。

 しかしここで注意です。買い残高が多いと「将来株価が上がると思っている人が多い」と捉える人がいるかも知れませんが、実はそうではないのです。

損失が膨らんでしまったままロスカットされていない

 信用取引の場合、ポジションを持っていれば、買い建てでも、売り建てでも、その分金利がかかります。また、長く持てば持つほど利息の負担が大きくなるので、利益が出れば早めに返済してしまうのが一般的でしょう。そんな信用取引で株価が下落しているにもかかわらず、買い残が減らない、ないしは、増えているということは、損失が膨らんでしまったままロスカットされていないと考えられるのです(余談ですが、市場全体の評価損率はマイナスで推移している状態が普通です。プラスになると市場全体が過熱気味だという判断になり、売りシグナルといわれています)。

 したがって、買い残高が高水準のまま推移している状態で、株価が下落基調のときは、戻り売りが出てくる可能性があるため、株価が安くなったからといって買うのは危険だと判断することができるのです。

 このような信用取引の残高から想定される需給関係を知らずに買ってしまうと、買った後なかなか株価が上昇しないばかりか、かえってさらに下落してしまうことになりかねないのです。

必ず個別銘柄の信用残高をチェック

 株価が安くなったからもうそろそろいいだろうと思って買った後、さらに株価が下がるという局面は、全体相場が戻り歩調のときによく起こります。これは、日経平均株価やTOPIXといった指数と個別銘柄の需給関係の違いから起こる現象なのです。

 いくら個別銘柄の株価が下落した状態であると同時に全体相場が戻りそうでも、必ず個別銘柄の信用残高をチェックするようにしましょう。そうすれば、全体相場が戻り歩調であったとしても、個別株ごとにロングなのかショートなのかの売買判断がやりやすくなると考えられます。

 では、具体的に、新日本製鉄のチャートで見てみましょう。


  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

  • 福永 博之(フクナガ ヒロユキ)

    株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)を経て、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)に入社。マーケティングマネジャー、投資情報室長、同社経済研究所チーフストラテジストを歴任。
    テレビ東京、CS日テレ、日経CNBCなどの株式関連のテレビ番組でコメンテーターとして出演するほか、ラジオNIKKEIの「和島秀樹のウィークエンド株!」ではレギュラーパーソナリティを務めて6年目になる。日経新聞やロイターニュースなどにマーケットコメントを発信し、個人投資家向けには「週刊エコノミスト投資の達人」や「ネットマネー」など、多数のマネー雑誌で投資戦略やテクニカル分析をプロの視点から解説。証券会社や証券取引所、銀行、高校などが主催する数多くのセミナーで講師を務め、人気を博している。
    現在、投資教育サイト「アイトラスト」の総監修とセミナー講師を務めるほか、早稲田大学オープンカレッジで非常勤講師も務める。
    著書に、『実力をつける信用取引』(パンローリング)、『デイトレ&スイング 短期トレード 完全攻略ノート』、『365日株式投資ノート』(以上、インデックス・コミュニケーションズ)、 『テクニカルチャート大百科』シリーズDVD(パンローリング)など、多数。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2020 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5