短期トレードのテクニカル
今回はFXの短期トレード(デイトレード)のテクニカルについて説明したいと思う。
東京市場(日本時間午前9 時から午後5 時まで)の為替相場の値動きはあまり大きくならないことが多いが、ニューヨーク市場は経済指標やニュースなどに素直に反応して大きく動くマーケットである。
東京市場は投機的な為替取引よりも貿易に関わる為替取引が圧倒的に多く、しかも、輸出と輸入の為替取引がほぼバランスする形となっているのに対し、ニューヨーク市場では貿易取引に関わる為替取引が極めて少なく、殆どの取引がトレーダーやヘッジファンドらによる投機取引となっているからである。
短期トレードを行う場合、静かで小動きの相場が得意という人もいれば、荒れ相場が得意という人もいるだろう。それゆえ、短期トレードでは自分にあった相場つきの時間帯、通貨を選んで取引をすることが大切である。また、短期トレードを行う場合には、相場に関するニュースを即座に入手出来る情報機器(インターネット、速報メールなど)や、取引する通貨のチャート(ローソク足、一目均衡表、移動平均線、ボリンジャーバンド)を揃えておくことも大切である。
かつてはロイターやブルームバーグなど、海外のニュースソースにアクセスするのに非常に高額な費用がかかったが、現在は外為証拠金取引会社などを通じてほとんど負担にならない金額で入手できるようになった。また、チャートも手で描かなくともインターネットで容易に入手できる便利な時代になっている。
それでは短期トレードで利用したいテクニカルをここで5つほど紹介したい思う。
1. 移動平均線
移動平均線は、日々の終値を使い、5日、21日、90日、200日などの平均線を算出する。向き、クロスを見る。短期では5日、21日線の向きを重視している。
算出期間が短い移動平均ほど値動きに敏感であり、期間を長期にするほどその反応は鈍くなる。一般的に市場が一定のトレンドを形成していれば長期線が有効、値動きが保合い圏にある場合、またトレンドが転換する過程では、価格変化に敏感な短期線が有効であり、長期線でトレンドを、短期線で売買タイミングを図るという両者の併用が理想的。
具体的な利用法としては「グランビルの法則」が有名だ。
【買いポイント】
①移動平均線が下降を続けた後に、横這い若しくは上向きかけている状態で、価格が移動平均を上抜いた時
②移動平均線が上昇している時に、価格がこれを下抜いた時 (押し目買い)
③上昇中の移動平均線に向かって価格が下降したが、移動平均線を割り込むことなく再度上昇に転じた時
④移動平均線の下降局面で価格が大きくかけ離れて下落した時(短期的な自立反騰の可能性)
【売りポイント】
①移動平均線が長期上昇の後で、横這い若しくは下降を始め、価格が移動平均線を下抜いた時
②移動平均線が下降中に、価格がこれを上抜いた時 ※戻り売り
③下降中の移動平均線に向かって価格が上昇したが突破できずに、再び反落した時 ※売り乗せ
④移動平均線が上昇中でも価格が大きくかけ離れて高騰した時(短期的な自律修正の可能性)
2. ローソク足
日本人に好まれているチャート。作成には4本値(始値、高値、安値、終値)を使う。日足、週足、月足、年足のほかにデイトレ用に分足、時間足を利用する人も多い。ほとんどすべての教科書では株を対象としている。為替に当てはまらないパターンも多いので注意したい。

組み合わせでカブセ、極線、ヒゲ、行き詰まり線、トレンド分析にも使う。移動平均線、ボリンジャー、一目均衡表と併用できるので、まずは基本をおさえて活用の幅を広げていってほしい。
次にP&F(ポイント・アンド・フィギュア)、ボリンジャーバンドの活用法を見ていこう。(次ページへ続く)