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「100年先も続く農家を増やしたい」
注目集める農業ベンチャーの取り組みとは

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2010/03/13 16:00

 平成21年12月に施行された農地法改正によって、農業も大きく変わろうとしている。そんな中、新規に就農する人たちも増えつつある。しかし、作ってもうまく流通に乗らない、また適正価格で売れないなど、農家を取り巻く現状はまだまだきびしい状況にある。

 そんな若い就農者たちを応援し、共に挑戦したいと思い起業したのが、野菜提案企業「株式会社坂ノ途中」の社長・小野邦彦さん。小野さんは、ソーシャルベンチャー・事業型NPOを起業・運営する若者や学生の育成に取り組んでいる「NEC社会起業塾」の2009年度塾生で、選考途中で法人化した。今、最も注目を受ける若手起業家だ。「坂ノ途中」という風変わりな社名は若手農家・新規就農者とともに挑戦し、坂道を登っていくパートナーでありたいという思いから名付けたという。

 同社が目指しているのは、新規就農者が農業で「食べていける」環境を整えること。そのために、クオリティは高いが形や数がそろっていないため、既存の流通の仕組みからはこぼれおちていた野菜や、これまでは輸入するしかなかったイタリアの野菜などを国産化し、その価値が分かる料亭やレストランなどのプロに向けて販売するなど、新しい流通経路の確立に尽力している。また、利用法や季節変化への対応などをトータルに提案することで野菜の利用価値を高め、提携農家がプロ料理人の視点、ニーズを反映した野菜作りができるように橋渡しをしている。

 起業を思い立ったきっかけは、「実家で自分たちが食べる分の野菜を栽培していたのですが、大学に入ってよその野菜を買うようになって、いかに自分が食べていた野菜がよいものであったかということに気づいた。農薬・化学肥料を多用すると今は豊作にはなるが、土がやせていく。100年後の豊作は期待できない。農薬や化学肥料に頼らず、土づくりを主体とした農家を増やし、『未来からの前借り』をやめていく、というのが弊社の考えです」と小野さん。

 近年増えてきた農業系のITベンチャーにありがちな、「私たちがITで効率的に解決してあげる」といった高所からの視線はない。現場で農家の人たちと一緒に汗をかくことをモットーとしている。最初は、飛び込み営業のみで話を聞いてもらうのがやっとだったが、少しずつ主張を理解されてきているという手応えを感じ始めているところだと言う。お客さんが知り合いを紹介してくれるなど、どんどん広がりを見せている。

 最近、飲食店向けのビジネスだけでなく、都市型野菜市といった事業も始めた。「有機野菜や旬の野菜、珍しい野菜を試食できるなど、滞留時間が長くなるような『遊び場』としての野菜市を目指しています」(小野さん)。今は野菜の新しい売り方や使い方を模索しているところだが、彼ら地道な取り組みによって100年先の農業にも希望が見えてきつつある。

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