6種類の注文方法を使いこなす
FXの特徴のひとつとしてあげられるのは、取引における注文機能が充実していることです。おもな注文方法は次の6つです。
1. 成行注文
2. 指値注文
3. 逆指値注文
4. IFD注文
5. OCO注文
6. IFO注文
FXの取引自体はドルなどの通貨を買ったり、売ったりするだけなのですが、これらの6種類の注文方法をマスターしていると、時と場合によって使い分けられて便利であると同時に、リスクを軽減することもできます。
6つの注文方法のなかでも、ぜったいに理解しておく必要があるのが、「1. 成行注文」と「2. 指値注文」です。そして、次に理解しておきたいのが、「3. 逆指値注文」です。
4.~6のIFD注文、OCO注文、IFO注文は、1.~3.の注文方法を使いこなせるようになってから覚えても遅くないでしょう。
成行注文は時間に余裕が必要
まずは「1. 成行注文」と「2. 指値注文」についてみていきましょう。指値注文では、事前に買いたい価格(または売りたい価格)を設定したあと、実際にその価格になって取引が成立したときにポジションを持つことができます。それとは逆に、価格を設定せずに、現在の為替レートで取引をする方法が成行注文です。

上の図の価格表示のときに成行注文をすると、92円69銭でドルを買うことができます。「この価格で買いたい」「この価格で売りたい」と思いをそのまま反映できる成行注文は、取引が成立するかどうかわからない指値注文よりも使い勝手がよさそうに思えます。
いつでも、欲しいときにポジションが持てるところがいいですよね。しかし、注文したい価格にならなければ、その価格になるまでパソコンに張り付いている必要があるので、時間に余裕がない人には適していないという欠点もあります。
指値注文も成行注文もそれぞれ長所と欠点をもちあわせていますが、初心者にとっては成行注文のほうがリスクが高いと思います。実際のドル/円日足チャートを例としてみていきましょう。

3月4日に急上昇しはじめたドル/円は89円を超え、さらに上昇して90円から90円50銭を中心に横ばいに推移しています(3月10日時点)。これからの価格の推移については、次のように予測できます。
「2月には92円を超えているので、上昇すれば92円を超える可能性も出てくる」
「しかし、89円50銭、または89円を下回れば、再び88円台に戻る可能性もある」
つまり、ファンダメンタルとテクニカルの観点からドル高円安にもドル安円高にもふれる可能性があるとすれば、次はこのように考えます。
「91円を超えて上昇傾向を見極めたら、ドルを買おう」(ロングポジション)
「89円50銭を下回ったら再び下落とみて、ドルを売ろう」(ショートポジション)
このような戦略を立てた場合、成行注文で取引をしようとすると、91円以上、または89円50銭以下になるのをパソコンの前でじっと待たなければなりません。

上のチャートは、先ほどのチャートのその後です。3月10日から2日後に91円を上回る場面も一時的にありましたが、上昇傾向を見極めるまでにはいかず、結局、完全に上抜けしたのが3月24日です。つまり、戦略を立ててから2週間後のことです。これほどの長い時間、成行注文をするためにパソコンの画面とにらめっこするわけにはいきませんよね。
このように、成行注文は傾向(トレンド)を予測して取引する方法にはあまり適していないことがおわかりいただけたと思います。どちらかというと、成行注文は短期的に取引する場合のほうが向いていると考えられます。そこで今度は、経済指標の発表をねらった短期的な取引をする際の戦略を立ててみることにしましょう。