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ギリシャ危機はいつまで続くのか 歴史の教訓からその答えを探る

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2010/04/17 10:00

歴史から学ぶ金融危機対策

 ユーロ諸国とIMFの支援約束により収束したかに見えたギリシャ問題がまた再燃した。このような金融危機はいつまで続くのか、過去の金融危機の事例を振り返ると1つの共通点が見えてくる。

1997年 山一證券破綻時の損失補填

 1997年11月、山一證券が簿外債務の存在を明らかにすると共に経営破綻。顧客保護と金融危機回避を理由に無担保の日銀特融が実施された。実行された約1兆2000億円のうち約1100億円が回収不能に。

1998年 ロシア危機時の損失処理

 1997年のアジア通貨危機に始まった市場の混乱は、1998年にはロシア国債のデフォルトによりヘッジファンドLTCMが多額の損失を出したことにより、市場がマヒするという最悪の事態に。これに対し米国FRBは、政策金利を大幅に引き下げると共に、ウォール街の大手証券各社に、LTCMの損失処理約40億ドルの資金を拠出させた。

2003年 りそな銀行国有化

 2003年5月、りそな銀行と持ち株会社のりそなホールディングスが自己資本不足に陥ったのを受け、政府は約2兆円の公的資金の投入を決定。金融機関の経営破綻の連鎖を防ぐと共に、既存株主への減資を行なわないことで株式市場をサポート。

2007年 サブプライム危機時の損失処理

 米国住宅バブルの崩壊によりサブプライム住宅ローン担保証券などの証券化商品価格が暴落。多額の損失発生によりベアー・スターンズ証券やリーマン・ブラザーズ証券など金融機関が経営難に陥る。FRBと米国財務省は住宅ローン担保証券大口保有者であったファニーメイやフレディマックを国有化、シティを始めとする大手金融機関に公的資金を注入、さらに住宅ローン担保証券を直接購入という形で支援。同時にドル資金不足に陥っていた一部新興国に対しても、大量のドル資金を供給。

金融危機と解決策の共通点

 これらの危機と解決策に共通していることは、何らかのショックで数千億円単位の損失が発生し、その損失の処理が決まらないうちは危機が再燃し続け、最終的にその損失を引き受ける人が具体的に決定することで危機が沈静化するという流れだ。

 損失を好んで引き受ける人はいないため、損失を引き受ける人は最後の最後まで決まらない。巨額の損失が残ったうちは市場に疑心暗鬼が広がり続け、最終的にシステムの破綻寸前まで突き進んだ末に、政府または中央銀行が損失を引き受けざるをえなくなるという構図だろうか。それでは肝心の今回のギリシャ危機、いったいいつまで続くのか。

ギリシャ危機はいつまで続くのか

 ギリシャ危機は、最終的にギリシャの債務を誰が払うかはっきり決まるまで続くのではないだろうか。今回ユーロ諸国が提供するのは、「融資枠」であり、債務肩代わりではない。ギリシャは自力で債務を返済しない限り、高い金利を払い続ける必要がある。

 ギリシャが今回だけ融資枠を使用し、自主的に歳出削減を進めるのがギリシャ以外の国にとっての最善のシナリオだ。しかし、ギリシャの厳しい国内事情を見てみると、歳出削減は一筋縄では行かないだろう。

 一方、融資枠を提供しているドイツ、フランスを始めとする欧州各国だが、ギリシャに対して強く出ることができない事情がある。ドイツやフランスの国民は、ギリシャへの直接支援に反対しているが、そんな国民の世論とは裏腹に、ドイツやフランスをはじめとするユーロ諸国の金融機関は多額のギリシャ国債を保有している。

 つまり、ギリシャ国債がデフォルトという事態になれば、ユーロ諸国の金融機関が大きな損失を受け、それらの国では公的資金の投入という形でギリシャの損失を補填する形になる。ドイツやフランスの政治家の立場に立てば、ギリシャに自国民の税金を直接投入するより、ギリシャ国債デフォルトの結果として自国金融機関を支援に税金を使用する方が政治的なリスクは小さいという見方もできる。

 ギリシャ問題は関係者が多いため、債務の最終引き受け者を決めることが難しい状況だ。過去の事例では、引き受け者を決められないまま損失が放置された場合、事態が悪化し続け破綻まで突き進み、最終的に関係者全員で負担したというケースが少なくない。

 ギリシャ問題は、様々な話し合いが行なわれているにも関わらず、ギリシャの金利は高止まりしたままで収束する様子を見せていない。それどころか、格付け会社の格下げ、証券会社のギリシャ国債ポジションの縮小と流動性低下など、表から見えない所で情勢はどんどん悪化している。ギリシャ情勢が悪化するにつれ、ポルトガル国債へも同様の圧力が高まってきた。

 ユーロ諸国は早く具体的な資金拠出計画を出し、ギリシャの破綻とユーロ圏の崩壊という最悪のシナリオを回避すべきだろう。

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