広がる不安心理
日経平均は4月5日高値1万1408円を天井として軟調な展開が続いています。
ユーロ問題、金融規制等を取り上げ、個人投資家の一部からは、株式市場に対して悲観的な見方が広がりつつあります。米株の乱高下を受けて東京株式市場は大きいギャップを伴った寄り付きが多く、日々値動きが激しくなり、下値を切り下げていることも、株式市場の先行きに対し不安を抱きやすくさせているのでしょう。外部環境に対する不安に加え、個人投資家の懐具合が痛んできていること(含み損)も、不安心理に拍車をかけているようです。
市場からは、日経平均9000円の声も聞こえてきました。下振れを警戒すべき局面であり、不安になるのも無理からぬところです。とはいえ、過度な不安に陥るのはどうなのでしょうか?
5月18日時点では、まだ中期トレンドラインは崩れていなかった
先ずは段階的に5月18日までを見てみましょう。4月5日から約1ヶ月半で1000円超下げたとはいえ、この時点では、まだ5月7日安値、週足基準線、月足転換線、昨年3月安値→11月安値を結ぶ上昇トレンドラインなどの中期的な節目が密集する日経平均1万200円レベルを明確に割り込んだとは言えない状態でした。短期では崩れた形になっていましたが、この時点では中長期トレンドは依然上向きだったのです。
市場では想定外と言われるような株価乱高下が年に2回程度は起こると一般的には言われています。日経平均1万200円レベルまでは「想定される想定外の下げ」の範囲内と見ることもできたのです。
しかし、この崩れたと言えない状況でも、一部の投資家からは日経平均9000円レベルを視野に入れた下げを想定する声が聞かれていました。崩れる前に、さらに下を想定する(下落余地を大きくみる)ということは、万が一に対しての備え、資金管理という点では正解であり必須と言えます。
ですが、想定と準備を通り越して、崩れてもいないのに、さらにはるか下を想定して「手掛ける」のはいかがなものでしょうか。(今回は結果として、それは正解となりましたが)妙な心理的バイアスがかかっていた可能性はないのでしょうか。
なぜ投資家は下落余地を大きく見すぎることがあるのか
下落余地が大きいと考える主な原因を考えてみましょう。(次ページへ続く)