金利や株は素直だが為替は一癖ある。
バブル期、1989年12月29日は日経平均が3万8915円の高値をつけた。当時の日本国債利回りは6%。ドル円は142円であった。その後バブル崩壊、日本景気低迷で株は7600円、日本国債は1%割れしたが、円は100円割れも経て総じて円高推移した。日本の景気が悪くなれば、株は下がり、金利が低下するのは、素直な反応だ。為替は景気悪化しても円高推移を続けた。
また日経平均が7600円をつけてから景気が回復するにつれ、株価は倍以上の16000円、日本国債も2%近辺まで利回りが上昇した。しかし、円は100円台から120円まで円安推移した。円は景気の良し悪しの逆の動きをすることも多い。それにもかかわらず、円の為替相場を予想するのに日本の景気動向を挙げ続ける苦しさはある。景気動向に素直な株、金利、ひねくれものの為替だが、為替は需給には素直な動きとなっているのだろう。
為替市場には株、債券、商品と異なる参加者がいる。株、債券、商品はそれをやりたい人がやっているが、為替市場への参加者はやりたい人だけではない。やらされてしまう人の取引が多い。相場感や投機心がなく、今日買わざるを得ない人、売らざるを得ない人が参加している。
今日の相場が1ドル100円でも1ドル200円でもやらざるを得ない人が参加するのが為替取引の特徴である。その人々の行動様式を把握すれば相場がわかるのだが容易ではない。隣の家の財布の中味を知ろうとするようなものである。為替は投機以外の日常生活に密着した取引が多い。株、債券、商品で損をしたくなければやらなければいいのであるが、為替はやらなければいけないのである。よって時には政府が干渉し、官製相場になる。

為替の動きの方が株よりも生活がかかっている
国際収支表は重要で資金の対外流出国内流入がわかりそうだ。しかし国境を越える資金の出入りはわかるが為替が絡むかどうかはわからない。
時々日本の金融機関が外債投資を増やしているというが、ほとんど為替に絡むものではないということもある(円をドルに換えるのではなくドルを借りてドルで投資するので為替売買には関係がない。為替変動にはかかわりのない海外投資も多い)。それがすべて為替リスクを負ったものなら、ドル円はもっとドル高円安となっている。
株と為替の動きはかなり異なる。ではどのように異なるのか。短・長期投資などの選択にもかかわってくるので、注意して分析してみよう。(次ページへ続く)