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資源国での課税強化は石油ショックに匹敵するインパクトだ

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2010/06/09 09:00

オーストラリアで資源採掘からの利益に課税する動きがある。これは石油ショックにも匹敵するような事態の始まりかもしれない。(バックナンバーはこちら)

投資シナリオを考える

 オーストラリア政府は資源関連企業を対象に採掘からの利益に対し40%課税することを検討していると伝えられています(出所:Reuters)。仮に実施されれば、国際的な資源スーパーメジャーの英豪企業であるBHPビリトンやリオ・ティントをはじめ、資源権益を保有する日本の商社などの業績に大きな影響を与えかねないと考えられています。

 なお、これは資源関連企業だけの問題ではなく、皆様の生活にも影響を与える可能性があります。企業の経済合理的な行動を前提とするなら、これらの資源関連企業は、課税分を資源価格に転嫁しようとすると想像されます。

 また、この業界は一般に寡占が進んでいるために交渉力が強く、買い手が受け入れざるを得ない局面も多くなると思われます。

 ちなみに、オーストラリアでの資源産出が減り、より生産コストの高い国での採掘が増えても資源価格の上昇圧力になることに変わりはありません。その結果、鉄鉱石や石炭などの価格上昇が消費国の国民の負担となり、消費国から生産国への富の移転が起こるというわけです。

 この状況は石油ショックほど急激ではないかもしれませんが、背景には似たものがあると考えられます。つまり、より貴重な存在となった資源からのより多くの「分け前」を資源国政府、ひいては資源国の国民が主張する流れと考える見方です。

 実は原油でも産油国による課税が増えてきていますし、途上国の銅鉱山やニッケル鉱山でストライキが頻発するのも似たような背景があるという考え方もできるでしょう。

資源国への富の移転が進む?

 中国やインドで米国並みの生活を目指す25億人もの経済発展の勢いが継続すると考えるなら、今後さらに各種資源への需要は強まり、資源国の「もっと産出国に富を残せ」という声がさらに大きくなっていくかもしれません。

 この場合、資源国での課税が様々な価格に転嫁される形で輸入インフレを招き、先進国経済や大量の資源を必要とする中国やインドの経済にも成長圧迫要因となってくることもありえます。

 このシナリオを予想するのであれば、トラッカーなどで原油・金相場などに中長期的に投資したり、資源国通貨、資源国の内需関連企業の株式に投資することなどが有効と考えられます。

日本経済に恩恵?

 鉄や銅、原油、石炭などの価格が大幅に上昇し、石油ショックのような状況が再発すれば、日本でも輸入インフレが起こり、思わぬ形でデフレ脱却、公的債務の負担軽減が実現されるかもしれません。

 一方、日本企業の中には炭素繊維、導電性プラスチック、省・代替エネルギーなどに強みを持つ企業も多く、資源価格の高騰によってメリットを受ける可能性もあります。

 このシナリオを想定するのであれば、新素材、省エネルギー、代替エネルギー関連などの株式への投資が有効になる可能性があります。ただし、このシナリオでは、円預貯金や固定金利の国債は、高率のインフレによって実質的な価値(購買力)が大きく毀損する可能性が高いことに注意が必要です(個人的には、石油ショック時に駄菓子の値段が1日で倍になった記憶があります)。

資源争奪で紛争多発?

 各国で資源の取り合いから紛争につながるケースが増える可能性もあります。それが中南米、東南アジア、中央アジア、アフリカや中近東の資源国に対しての、欧米にBRICs諸国も含めた各国の介入増加となるのであれば、これがますます国際情勢を複雑なものとし、資源価格のさらなる高騰を招くという悪循環に陥ることもありえるでしょう。

 このシナリオを想定するのであれば輸入インフレに加えて、資源を輸入に頼る日本の国際的な地位の低下、自由貿易の後退などから、円の下落、金融市場の混乱が日本経済の重しになることも考えられます。必ずしも可能性が高いシナリオとはいえませんが、このシナリオを想定するのであれば、貴金属などの実物資産や、これらに投資するトラッカーやETFなどへの投資が有効となると思われます。

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