なぜ日本の政策金利はゼロなのか
日本の政策金利は2000年以降、ほとんどゼロに維持されてきました。なぜこのような状態が続いているのか改めて考えてみました。
1つの大きな理由として、80年代後半のバブルの後始末という面があります。バブル時代、日本中で様々な余分なものが作られました。需要予測が甘い観光施設や港湾、人の通らない道路、売上げ増加を見込んで人員増加、工場の増築など、さまざまです。
これら過大な供給能力に対し、バブル崩壊後あてにしていた需要が一気に無くなってしまったため、さまざまな設備が余ってしまいました。このような需要不足供給過剰の状態が続くと、物価が下落します。
そこで日本では政策金利を低くすることにより、新たな需要を生み出そうとしました。例えば車や家のローンや銀行からの借り入れを考えてみると、これらすべての金利が大きく下がりました。これにより新たな需要が生み出され、需要不足の解消に貢献しました。
また、金利を下げることには、将来の期待キャッシュフローの割引率を低下させ、資産価格を押し上げる効果があります。バブル崩壊では株式と不動産の価格が大きく下落しました。金利が低下したことにより、これら資産価格の下落が幾分か和らいだと考えています。
ただ、バブル後の需要不足の大きさがあまりにも大きかったため、金利低下による民間需要創出の効果ではバブルの遺産の穴を埋めることができませんでした。現在は政府の支出で民間の需要不足を補っている形になっているため、財政赤字が拡大しています。この構造がデフレと低金利の一因となっています。

グローバル化の進展
政策金利が低下した理由にはもう1つ重要な要因があります。それが90年代以降日本企業で急速に進んだ「グローバル化」です。(次ページへ続く)