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「社会貢献だけじゃない」
バングラディシュ進出に見るユニクロの海外戦略

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2010/08/01 14:30

 ユニクロを運営するファーストリテイリングが7月8日、2010年8月期の第3四半期累計の業績を発表した。売上高は6,590億円で前年同期比22.7%増、営業利益は1,234億円で同27.1%増、当期純利益は671億円で同35.2%増と、大幅な増収増益を達成したことが明らかになった。

 日本国内の事業が苦戦する中、大幅な増収増益を達成した背景には、海外ユニクロ事業の成功がある。米国、英国、フランスなどの売上が好調だったほか、世界で4店舗目となるグローバル旗艦店「上海 南京西路店」を5月にオープンさせた中国で、既存店売上高が二桁増となっている。

 こうしたユニクロの成長を支えているのは、マーケティングを中心とした海外戦略だけではない。現在、ユニクロ商品の80~90%は中国で生産されているが、高い品質を維持できるよう、日本人のベテラン技術者集団「チーム匠」を編成し、海外生産工場で技術指導や品質管理を行っている。また原材料を100%買い取ることで、素材コストの引き下げに成功している。これらの努力が実を結び、高品質な製品を大量に安く仕入れる仕組みによって、同社の収益力は増している。

 そのユニクロが、7月13日、バングラデシュのグラミン銀行と提携し、9月に現地向け衣料品を企画・生産・販売するための会社を合弁で設立すると発表した。

 外務省の発表によると、バングラデシュは、人口およそ1億4,450万人。マーケットとしては日本よりも大きい。ただし国民一人当たりのGDPが624ドル、1日1.25ドル以下で生活している人の割合が約4割弱という、貧困に苦しむ国家だ。今回の進出は、ビジネスを通して、貧困や衛生、教育などの社会的課題を解決を図ることを目指す「ソーシャルビジネス」と位置づけている。

 提携するグラミン銀行は、バングラデシュ国内で貧困層に無担保で融資を行っており、貧困救済に貢献したことでノーベル平和賞を受賞している。今回のユニクロの進出も、社会貢献を目的として、グラミン銀行の持つのネットワークを活用し、貧困層向けに衣料品を1ドル程度で販売していく。得られた収益は同国で再投資し、現地の雇用創出につなげるという。

 1ドルという低価格商品から得られる収益はわずかだ。しかし商品の素材調達から生産、販売までを同国で行うことができれば、製造・販売コストも安く抑えることができ、現地法人として見た場合には、十分な収益を確保できるとみられる。

 一方でバングラデシュでの生産体制が整えば、人件費が上昇する中国に代わって、将来のユニクロを支える重要な拠点になるだろう。バングディシュへの進出は、「社会貢献」だけではなく、ユニクロのしたたかな海外戦略の一部ともいえる。

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