2010年8月1日、取引ルールの変更
少ない資金で多額の取引ができるのはレバレッジという仕組みがあるから…ということは知っていても、その仕組みについて正確に理解している人は多くないようです。
2010年8月1日から、取引額の2%以上の証拠金の委託をすることなしにFX取引を行うことが法律で禁止されました。これはレバレッジの倍率が50倍までに規制されたことを意味します。今まで、レバレッジと証拠金のことをよく理解できていなかった人は、今回の法改正をきっかけにきちんと理解を深めておくことをおすすめします。
レバレッジが規制されたことは、実際の取引に大きな影響を与えることになります。たとえば、これまで高レバレッジをかけて、数銭の小さな利益を狙う「スキャルピング」という方法を行っていた人は、法改正により50倍よりも大きなレバレッジがかけられなくなります。
ということは、それまでの方法と同じことをしても利益が少なくなってしまうのです。つまり、これまでと同じぐらいの利益を狙うのであれば、トレード方法を変える必要があります。したがって、これからのFXは、「レバレッジが何十倍、何百倍もきくから儲け放題」という話はありえないのです。
50倍以上のレバレッジはかけられない
レバレッジというのは、証拠金率(あるいは保証金率)のこと。証拠金とは、担保となる手元の資金のことです。
先ほど「法改正により取引額の2%以上の証拠金が必要になった」と述べましたが、いったいどういうことなのか。具体的なケースを例に説明していきましょう。
下図の最近数カ月のドル/円日足チャートを見てください。6月、7月の2カ月間の値動きは、ドル安に進み過ぎていて怖いぐらいですね。93円から86円台まで下落しているので、7円もの差があります。

たとえば、1ドル=93円のときにドルを買ったとしましょう。「2%以上の証拠金が必要」なので、1万ドルのポジションを持つとしたら、約1万8000円が必要です。このときのレバレッジは50倍です。つまり、50倍以上のレバレッジはかけられなくなったのです。
なお、各レバレッジの倍率に必要な証拠金の額については、図を参照してください。

資金が少ない人でもできるのがFXの魅力だと思っている人も多いのですが、これからは考え方を変える必要があります。ただし残念に思うことはありません。実はレバレッジを低く抑えることがFXの成功の秘訣なのです。(次ページへ続く)