MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

外資系ストラテジストが明かした投資戦略
【デンマーク&パリを訪ねて Part4】

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2010/08/13 14:00

編集部がデンマークの首都コペンハーゲンに本社を構える「サクソバンク」を突撃取材。マーケットストラテジストに相場と対峙する方法を聞いた。(バックナンバーはこちら)

ストラテジストの1日の流れを追跡

 一般投資家にとって、プロのアナリストやストラテジストがどのような情報を収集し、分析しているのか興味があるところだろう。それが海外の投資銀行で活躍するストラテジストならなおさらのこと。

 今回デンマークの金融機関、サクソバンクの本社へ取材を行った筆者は、同社のマーケット・ストラテジストで、普段からブルームバーグなどでコメントを発信するChristian Blaabjerg氏(以下、クリスチャン氏)にインタビューを行う機会を得た。

 日本の個人投資家にも参考になる話(注目すべき指標や相場に対峙する際のポイント)を聞いたのでぜひ参考にしていただきたい。

 クリスチャン氏の日常業務は、相場の分析に必要な情報を収集し、整理した後、現在の経済状況が過去の経済モデルにあてはまるかどうかなどをチェックし、自らの投資判断を会社の内外にむけて発信することだ。

 参考までに彼の1日の流れを追うと、「朝は4~5時に起きる」(以下、クリスチャン氏)と完全な朝型人間。自宅からロイターなど金融系ニュースサイトをチェックし、欧州が夜間の時間帯にアジア市場がどう動いたかなどをチェックする。

 そして世界経済の動きを一通り確認した後は、自転車に乗って20キロ離れたサクソバンク本社に朝6時半までに出社。オフィスでは再度、世界経済に何が起きているのか、リスクはどこに存在するのか、1日の世界市場の状況をマクロな視点で観察する。そして、為替相場や商品相場(WTI原油など)など個別の金融商品に対する投資戦略をまとめ、社内の営業部やブルームバーグなどの外部メディアに発信するコメントを用意するという。

 午後は世界金融の中心的存在でもある米国市場が開くので、ニューヨーク・ダウ(ダウ平均株価)や欧州各国のインデックス指数などの動きを確認する。その際に「テレビや雑誌の取材を受けることがあるので、コメントを出しつつ、自らも金融系雑誌や他の銀行から発信されたアナリストの分析を読む」とのこと。とにかく情報収集は欠かさず行っているのがわかる。

 その後15時半~16時ぐらいに帰途につく。日本人の感覚からするとずいぶん早い退社だが、デンマークでは朝が早く、社員は夕方になると退社するという。

 だがストラテジストとしてのクリスチャン氏の1日はここで終わらない。家に帰っても仕事を行う。「市場の分析は家でやることも多い。邪魔が入らず集中できるからね」。

FXで個人投資家が注目すべき指標とは

 次に個人投資家が為替取引に臨む際にチェックすべき指標をたずねた。
 クリスチャン氏は、FXのデイトレードにおいては、マクロは気にせずテクニカルだけ見ればいいが、「中・長期投資に臨む際には経済指標をチェックすべきだ」とアドバイスする。

「注目すべき指標は、各国の政策金利やインフレ率、失業率、製造業受注、マネーサプライ(通貨供給量)、銀行の貸出残高などだ」と例をあげた。

 また「各国の政治状況にも気を配った方がいい」と付け加えた上で、FXの場合はこうした情報収集が必要なので、あまりたくさんの通貨を扱うよりは、2~3通貨ペアに抑えた方が、管理しやすいと指摘した。

 為替相場は一般投資家とプロがともに同じ土俵で戦うため、ヘッジファンドの動きに一般投資家が踊らされ、被害を被ることもあるが、どうしたらプロに立ち向かえるのか。

「プロが扱う情報には一般投資家がアクセス不可能な情報もある。またプロはお互いに情報交換を行うので、その点で個人より有利だ」とクリスチャン氏もプロの優位を認めた上で、次のようにアドバイスする。

「今やインターネットでいろいろな情報が取得できる。たとえばあるヘッジファンドマネージャーは名前を隠してブログを書いており、そのブログには投資に関するヒントに溢れている。また投資関連の専門サイトも増えており、プロと同様の情報を得られるようになってきているのは個人投資家にとっても朗報だ」。

 だが情報の扱い方には慎重を期す必要がある。とくに希望的観測は行ってはならない。「市場にこう動いてほしい、と願うのではなく、こう動くだろうと指標から判断すべきだ。個人的な願望を市場分析に取り込むのは最もやってはいけないこと。たとえば指標を検証した結果、1970年代の日本経済と中国経済を重ねるのはいいが、最初から同じ動きをすると決め込むのは間違いだ」。

 初心者ならずとも希望的観測で相場を分析することはよくあることだ。クリスチャン氏の言葉を肝に銘じたい。続いて相場に立ち向かう方法や今後の円やユーロ相場の展望を聞いた。(次ページへ続く)


  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

  • 小野 健志(編集部)(オノ タケシ)

    MONEYzine編集部所属。
    大学時代から投資を行い、株高円安に浮かれた20代では損失を拡大させる経験も。
    現在は日本株、FX、CFD(原油)、社債、国債、ネット預金と幅広く資産運用しており、収支目標は年6%と手堅い投資スタイルに変化している。
    (複利で計算すると老後は億万長者の予定)
     

    世界が金融危機に陥った2009年は逆張りが機能し、16%増と好調だった。
    資産分散には気を配っているが、一番好きなのはFXのドル円取引。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2020 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5