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葬儀は個性と価格重視で二極化進行
リビング葬やホテル葬で和やかな見送りも

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2010/08/07 10:30

 厚生労働省の「人口動態統計」によると、2009年の年間死亡者数は114万4000人。戦後直後の1947年の113万8238人を上回った。世界でも類を見ない超高齢社会に突入した日本では、人口高齢化の進行と同時に、葬儀の価値観に変化が起こっている。

アイシェアが今年5月に行った調査(20代~40代の男女を対象)によると、自分の葬式を「してほしい」という回答(50%)と「してほしくない」という回答(50%)が二分する結果となった。「してほしくない」理由には、「必要を感じない」という宗教意識の希薄化を感じられる回答が多数。その他、「遺族の手を煩わせたくない」「お金がかかるから」などの回答が挙がっている。

 核家族化が進み、地縁のつながりが希薄になった現代では、近所の人が総出で葬儀を手伝う姿が影を潜め、葬儀社に依頼して葬儀を執り行うケースが一般的になった。また、葬儀の規模を縮小したり、価格を抑えたりする傾向が強まり、親族だけで行う「家族葬(密葬)」や、式を行わず臨終から直接火葬場へ移送する「直葬」が急増している。都内で「直葬」を行う場合、相場は約15万~30万円程度。第一生命経済研究所によると、都内では葬儀全体の2~3割を「直葬」が占めるという。

「昔は世間体を気にして、通常よりワンランク上のプランを希望する人が多かった。今では家族に負担がかかるからと、葬儀代を切り詰める人は多いし、葬儀代が払えない人も少なくありません」と話すのは某葬儀関係者。なかには、カード会社と提携して、分割払いに応じる葬儀社も出てきた。

 低価格簡素派の葬儀が増える一方、会葬者が減り、小規模な葬儀が増加したことから、料理や返礼品の質にこだわったり、故人の趣味嗜好を取り入れた演出を行うなど、高額個性派も増え始めている。

 メモリアルアートの大野屋(東京都新宿区)が提案する「リビング葬」では、キッチンやダイニングなどを備えた高級邸宅風の式場を、通夜と告別式の2日間利用。葬祭ディレクターが故人の人柄を偲ばせる葬式を提案し、食事はコースやビュッフェ(立食)から自由に選択できる。同社は、「『家族に自分の葬儀の心配をさせたくない』、『自分らしい葬儀で送ってほしい』などの理由から、内容や費用などを生前に予約する人が増えてきた」という。

 また、告別式代わりに親しい人をホテルに招く「ホテル葬」も登場。ホテルは駅から地下道路で直結しているなどアクセスがよい場合が多く、なおかつ質の高い対応を受けられるとあって、友人や知人の多い故人にとってはメリットが多い。

 ハウスウェディングや海外挙式など、選択肢が広がる婚礼ビジネスと同様に、葬祭ビジネスも多様化が進む一方だ。矢野経済研究所によると、2009年の葬祭ビジネスの市場規模は1兆7389億円。電鉄会社や生花店、流通大手などによる葬祭ビジネスへの参入も相次ぐ中、今後はますます個別ニーズに対応した高額個性派と低価格簡素派という二極化の傾向が強まるかもしれない。

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