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なぜ為替介入したのに円高が止まらないのか
「世界通貨安戦争」勃発の背景

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2010/10/17 11:00

15年半ぶりに1ドル80円を記録するなど、円高進行が止まらない。なぜ政府・日銀が為替介入したのに円高が止まらないのか。

 政府・日銀が先月15日に6年半ぶりに為替介入を実施して以来、1ヵ月が経過した。しかし2兆円規模の大規模な介入にもかかわらず、円高はおさまるどころか、今月にはドル円が一時80円台を記録するなど、為替介入を実施した82円90銭台をはるかに上回る水準で推移している。

 相場を操作するために政府・日銀が為替介入を実施したのにもかかわらず、なぜ円高進行は一向に止まらないのだろうか。

 15年半ぶりとなる円高を招いている主因は、いま世界中で「通貨安戦争」が起こっているからだ。ここ数年各国経済に打撃を与えている世界不況の影響で、どの国も景気刺激のために輸出に有利な自国通貨安を望んでいる。

 通貨安を目指しているのは日本だけでない。通貨はドル円ならば、米ドルと円との関係で価格が決まるため、円を上回る勢いで米ドルの価値が下がると、どうしても円高に進行してしまう。

 景気の回復に遅れが出ている欧米は、自国通貨安を容認する姿勢が鮮明になっており、とくに米国は日本の為替介入に対抗し、すぐさまFOMC(連邦公開市場委員会)が、追加金融緩和をにおわせる声明を出すなど、ドル売り円買いの動きを誘発しているとみられる。

 欧米は一方で、経済成長をはたした中国に対しては、同国通貨の価値が「安すぎる」と、人民元の切り上げを求めている。これに対し中国は、自国通貨の上昇を抑制するための為替介入を繰り返すなど、利害関係が対立している。

 同様にドルに対して自国通貨の上昇に頭を悩ます韓国、マレーシア、インドネシア、タイ、台湾の中央銀行も、あわせて287億4000万ドル相当のドル買い介入を行うなど、国際的に「通貨安競争」が勃発している。

 日本が15年半ぶりとなる円高にもかかわらず、追加の為替介入に慎重なのは、新興国が仕掛けたドル買い介入に対して、欧米諸国から批判が高まっている中で、再度の大規模介入には動きづらいとの事情がある。

 各国が介入を競う現在の状況は異常なことから、国際通貨基金(IMF)は、通貨安競争が世界経済に及ぼす弊害を警告している。8日にワシントンで開かれた先進7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、各国が景気刺激のために輸出に有利な自国通貨安を望む「通貨安競争」の回避に向けて協調することで一致して閉幕したが、世界的に景気回復が見られない状況では、「通貨安競争」回避に向けた新たな合意形成は容易ではない。

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