リストラ策に抵抗する日航社員
かつて「ナショナルフラッグ」として超優良企業の象徴だった日本航空に、リストラの嵐が吹き荒れている。
10月25日、会社更生手続き中の日航は、パイロット約130人に対し、10月に続いて、再度「白紙」の乗務スケジュール(11月分)を渡し、自主退職を促した。
リストラ対象者の「乗務はずし」は2ヵ月連続して行われたが、同社は目標の削減数に届いていないとして、客室乗務員約140人とあわせた計約270人の希望退職者を、11月上旬をめどに改めて募集する。それでも退職者が集まらない場合には、整理解雇に踏み切る方針だという。

もともと同社のパイロットは、平均年収が1800万円で、実際の業務の有無にかかわらず月65時間搭乗した分の賃金を保障され、退職後の年金額も年額600万円以上という破格の待遇であった。
その他の客室乗務員や地上職員もおしなべて高給取りであり、経営破綻の原因として批判の的に晒されてきたのである。
その上、社員には「EF券(エンプロイド・フリーチケット)」と称した家族向け優待券として、年間に国内線の片道航空券24枚、国際線は往復航空券4枚(自己負担は1割)が配られ、破格の特典を受けている。
EF券は「社員本人のほか配偶者や父母、子ら家族が利用可能」(二親等)で、事前予約不可で、空席ある場合のみの制限つき(キャンセル待ち)というシステムであった。
この「至れり尽くせり」、「もらえるものはすべてもらえ」、「国のものは自分のもの」という旧態依然とした「親方日の丸」体質こそが、コスト意識を麻痺させて、赤字を増大させ、経営を破綻に至らせた主因だとされている。
「一括首切り選定入社」の国鉄方式を採用せよ!との声も
そんな彼らに、日本国民の血税を導入するのだから、「きびしいリストラも当然」という意見もある一方で、当の日航職員たちはこのリストラ策に必死に抵抗している。(次ページへ続く)