最新の証券優遇税制の動向は?
平成23年12月末を期限とする証券優遇税制のうち「上場株式等の譲渡益および配当に対する税率を10%とする特例」について、平成22年10月21日に開催された政府の税制調査会(専門家委員会)において、
「この証券優遇税制を予定通り終了し、延長を行わないほうがよい」
という意見が出たと報道されました。もし延長されずに税率が20%に戻ってしまうと、個人投資家の収益にも大きな影響を与えることになります。今後の議論がどのような展開になるのか気になるところです。
それでは証券優遇税制のうち、平成22年末で期限切れとなる「みなし取得費の特例」と平成22年1月から適用となる「特定口座(源泉徴収あり)内での上場株式等に係る譲渡損失の損益通算」について再確認してみましょう。
みなし取得費の特例
「みなし取得費」というのは、平成13年10月1日の終値の80%相当額のことです。平成13年9月30日以前に取得した上場株式等を平成15年1月1日から平成22年12月31日までに売却し、自分で確定申告をおこなう場合は、「みなし取得費」を使うことができます。
実際の取得価額がわかっていても、みなし取得費を使うことができます。双方の金額を比較して、儲けを少なく(損を大きく)することで合法的に節税しましょう。
特定口座(源泉徴収あり)内での上場株式等に係る譲渡損失の損益通算
平成22年1月より、特定口座(源泉徴収あり)において、上場株式等の配当等を受け入れが可能になったため、特定口座(源泉徴収あり)内で上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当等との損益通算が行えるようになりました。
そのため、平成21年分の損益通算については、上場株式等の配当所得について申告分離課税を選択して確定申告をする必要がありましたが、平成22年分からは、年末に特定口座(源泉徴収あり)内で損益通算を行い、配当等の源泉徴収税額から超過徴収となっている税額が還付されるようになります。
損益通算について、まだイメージが湧かない方もいるかもしれません。それでは次にわかりやすく具体例を出して「株式、くりっく365、商品先物」における「分離課税」の申告方法と、「FX」の「総合課税」の申告方法の2点をそれぞれ説明していきます。(次ページへ続く)