卵が先か、ニワトリが先か
投資家(資金)が動けば株価は動きます。株価が動くと、投資家の動きも活発になります。値動きを好感し、投機家も現れます。
投機家が株価を動かしたことで、投資家が動く場合もあります。投資家が動いたから株価が動いたという事実だけではなく、株価が動くことで注目が集まり、投資家・資金流入が増加し更に株価が動くという現実もあるのです。
チャート分析、それに基づく売買と株価変動においても同様のことが言えます。「毛抜き底」や「逆三尊」などの、誰もが知っている「買いシグナル」は、その典型でしょう。
過去から現時点における売買・投資家心理が、その買いシグナルを発生させたという面もあるのでしょうが、その買いシグナルが発生した結果を見て買う投資家もいて、買いシグナル発生後に株価が上昇するという面もあるのです。
日本を代表するチャートである一目均衡表を考案した一目山人(細川氏)は、「一目均衡表は、それを使う人が増えれば増えるほど、その威力を発揮する」との言葉を残しました。
この言葉の解釈はさまざまですが、「投資家の心理と売買の結果がチャートを描画するが、そのチャートに注目が集まらなければ、その確度・機能性は低下する。そのチャートに注目が集まり、市場参加者の売買判断が一致するほど、チャートは機能する」ということでしょう。

言いかえれば、チャートにシグナルが発生しても、そのシグナルに気がつかない投資家が多ければ、そのシグナルの的中率は低くなるということです。つまり、株価、チャートとは、市場参加者の注目なくして明確な値動き、大きな値動きとはならないという性質があるとも言えるのではないでしょうか。
反面、注目が集まり、コンセンサスが一致した場合、特に一致し過ぎた場合には、「買うから上がる、上がるから買う(売るから下がる、下がるから売る)」、「買いが買いを呼ぶ(売りが売りを呼ぶ)」と言われる状況となり、株価は急騰・急落し易いとも言えそうです。
投資家は株価変動を納得したい
株価が大きく動いた場合、投資家が抱く疑問は、「なぜこれほど大きく株価が動いたのか?」というものでしょう。(次ページへ続く)