11月の日経平均、734.59円上昇 原因は外国人投資家の買い越し
11月の日経平均は月間で734.59円(7.98%)上昇です。日経平均は、11月10日の上昇でテクニカル的に、底入れの典型的なチャート形状である、「逆三尊」(7月6日の9091.70円を一番底、7月14日の9807.36円と7月28日の9760.31円をネックライン、9月1日の8796.45円を二番底、10月7日の9716.92円をネックライン、そして、11月2日の9123.62円を三番底)を完成させました。
このため、7月14日の高値9807.36円から9月1日の安値8796.45円までの下げ幅1010.91円を、ネックラインである9807.36円に足した10818.27円程度までの上昇が、期待できるチャート形状になっています。
上昇相場の牽引役は外国人投資家です。11月第3週(15-19日)の日本株市場では、外国人投資家が3週連続で買い越しました。メインはヘッジファンドの買戻しでしょうが、外国人投資家の買越額は1,289億円と前週の840億円を大きく上回り、3週間合計の買越額は3,987億円に達しています。
FRBが11月初めのFOMCで、来年6月末にかけて毎月750億ドル、総額6,000億ドルの長期国債購入を決めました。この追加の金融緩和策は、リーマン・ショック以降、量的緩和の第2段階ということで「QE2」と呼ばれています。このQE2で、外国人投資家のリスク許容度が回復し、相対的に出遅れていた日本株にも買いが向かったのでしょう。
朝鮮半島の緊迫化やユーロ不安により、22日以降上値が重めに
ただし、日経平均は、22日に10157.97円の高値を付けた後は、上値が重くなりました。短期的なテクニカルの過熱もありますが、22日以降の日経平均の調整の主たる要因は以下の2つです。
- 朝鮮半島の緊迫化
- ユーロ圏の財政・金融システム不安
「1.朝鮮半島の緊迫化」は、ご存知のとおり、23日午後2時34分ごろ、韓国が黄海上の南北軍事境界線と定める北方限界線に近い延坪島(ヨンピョンド)付近で、北朝鮮が突然砲撃した事件です。この砲撃での韓国側の被害は民間人2人を含む死者4人、負傷者17人でした。これで一気に朝鮮半島情勢が緊迫化、地政学的なリスクが高まり、日本株の上値が重くなりました。
また、「2.ユーロ圏の財政・金融システム不安」については、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが22日付の週報で、アイルランドの債務格付けを数段階引き下げる可能性が高いとの見通しを示したり、S&Pが23日、アイルランド国債の格付けを「ダブルAマイナス」から「シングルA」に2段階引き下げたりといったことから、アイルランド発の信用不安が強まったというもの。この不安は、ポルトガルやスペインなど南欧の財政赤字国の国債利回りの上昇という形で、ユーロ圏全体に波及しました。
なお、欧州連合(EU)は28日、国際通貨基金(IMF)と共同で今回の不安の震源地であるアイルランドへの金融支援を決めました。しかし、現時点では、市場の不安は収まっていません。実際、30日の欧州市場では、スペインやポルトガルの長期金利の指標である10年物国債利回りの上昇が続いています。(次ページへ続く)