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味や見た目、普通食そのまま
おせち・漬物・フレンチなど「家庭用介護食」浸透

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2010/12/12 10:30

 噛む力や飲み込む力が弱くなった人のために、軟らかく作られる「介護食」。これまでは細かく刻んだり、ミキサーにかけてドロドロにしたものが多く、味や見かけの悪さから食欲が落ちる人も少なくなかった。しかし近頃では、通常の食事に近い商品が次々と登場し、高齢者から歯の治療中の人や体調のすぐれない人など、幅広い客層の取り込みを図っている。

 家庭用介護食の先駆けは、1999年に市販されたキューピーの「やさしい献立」シリーズだ。具材の形を残しながら、スプーンで簡単につぶせるハンバーグや、とろみをつけて食べやすくした肉じゃがなど、ラインナップは全45品目。今年8月からのリニューアルでは、ファミリーレストランに慣れ親しむイマドキの高齢者に合わせて、チキンライスなどの洋食メニューを加えた他、価格もこれまでの250円から200円に引き下げた。

 全国初のデパチカ介護食ショップ「デリカム恵比寿三越店」は、熱湯で12分間加熱するだけで本格的な料理が味わえる「デリカムのやわらかおせち」(1万4700円)の予約を受付中だ。同店では、モチモチ感を残したソフト仕上げの餅も販売しており、嚥下障害がある人でも家族と一緒に正月を楽しむことができる。

 また、マルハチニチロ食品では、餃子や唐揚げの油淋鶏(ユーリンチー)ソースがけなど、ムース状の中華料理などを揃えた「やわらか食シリーズ」が好評だ。全メニューが電子レンジまたは流水解凍に対応した冷凍食品で、手間をかけずに調理できる。商品はインターネットから注文可能だ。

 一方、ホテルメトロポリタンエドモント(東京・飯田橋)のフランス料理店「フォーグレイン」では、通常メニューと同じ食材を使った介護食のフルコースを提供する。コンソメなどを冷やして固めたゼリー状の「ジュレ」や、旬の素材を裏ごしにして煮詰めた「ピューレ」など、フレンチの手法を用いて色鮮やかなフルコースに仕立てている。

 その他にも、フジッコの「ソフトデリ つぼ漬け」や、タカキベーカリーの「らくらく食パン」、フレンチの手法を応用したエス・アイ・ティーの「グランダペティー」シリーズなど、家庭用介護食のバリエーションは多岐に及ぶ。

 日本介護食品協議会によると、ユニバーサルデザインフードとして登録済みの介護食は505品目。2009年の生産金額は、市販・業務用あわせて7226百万円で、前年比115.2%となった。高度な技術により、通常の食事と変わらない見た目や味が再現できるようになったことに加え、スーパーやドラッグストア、インターネットなど、家庭用介護食の販売チャネルが広がったことも市場拡大の要因といえそうだ。

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