新興国で暴動が続発
食料品価格が上昇し、影響が広がっています。中でも新興国では影響が大きく、チュニジアでは暴動が広がり、23年間続いたベンアリ政権が崩壊しました。
アルジェリアでも同様の暴動が起きた他、アジア各国ではインフレ懸念が広がり、株価が乱高下しています。これらの暴動の原因となっている、2つの要因をおさらいし、その行き先を考えてみたいと思います。

牽引役から暴走機関車へ
2つの要因のまず1つ目は、2008年の金融危機以降、世界経済の牽引役であり続けた中国です。中国といってもいろいろある中で、注意すべきは統制のある程度とれている中央政府ではなく、統制のとれていない地方政府であると考えています。
中国ではさまざまな大規模プロジェクトが動いています。地下鉄や高速鉄道などの建設や、元々農地であった所に都市や工業団地を造成するものなど様々です。ただ、いずれにも共通していることは、タダ同然で農地を仕入れ、膨大な量のセメント、鉄、銅などを使用して開発を行い、でき上がったマンションなどを一般人の手の届かない価格で販売、特にそれらはほぼ富裕層によって購入されていくという構図です。
2011年度の中国の成長率はおおむね10%前後と予想されています。不動産価格とインフレ率の上昇から中国人民銀行は金融政策を「引き締め」に転換している状況を考えると、10%前後という予想は少し強気に見えるかもしれません。
そんな中で、15%以上の成長目標を掲げている地方政府が話題になりました。地方政府は、その財政をプロジェクトで土地やマンションを投資家に販売した収入に依存している面があり、その結果がどうあろうと、大量の材料を消費して、プロジェクトを続行する必要があるのです。
中国政府の金融関係者から、地方政府向け融資を危惧するコメントが頻繁に出るようになってきました。それら融資が不良債権化するかどうかは、最終的に各プロジェクトが利益を生み出すことができるかどうかによるため、プロジェクトが終了するまでわかりません。結果が出るのはしばらく先のこととなりそうです。
それをいいことに、中国、特に地方政府は開発を続けます。鉄や銅などの原材料価格が上昇しようとも、食料品やガソリンの値段が上がろうとも、中央政府が開発を止めるよう進言してきたとしても、開発を続け、大量の商品や金属を消費し続けます。食料や原材料の価格を押し上げた牽引車は、暴走機関車へと姿を変えつつあります。
そしてもう1つの暴走機関車、それが米国です。(次ページへ続く)