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さらば株式市場、上場廃止が大ブーム
投資家は「M&A」関連企業を要チェックだ

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2011/02/17 10:00

毎年株式市場で人気を集めるテーマは入れ替わる。一昨年が「環境(エコ)」、昨年が「新興国」「スマートフォン」とすれば、今年は「M&A」になることはかなり確率が高い。(バックナンバーはこちら)

すさまじい勢いで増えるM&A

 2011年の日経平均は出足から堅調で、とくに2月は「上値は重いが売りづらい」との声がよく聞かれた。海外勢による日本株買いが継続しているほか、アメリカ株が連日で上昇。朝起きたらNYダウが上がっているため、前の日に逆張りで空売りポジションを組んでいた投資家は「朝からブルー」の連続だったことだろう。

 この時期は決算発表シーズンでもあったが、日米とも好決算企業が多かったことも特徴。経済指標も良くなっており、これらを後ろ盾にしてジワジワ上昇したとも解釈できるだろう。

 それだけではない。今年に入り、ひときわ目立っているのが「業界再編」だ。毎日のように飛び込むM&Aネタ。日本では鉄鋼業界で国内トップの新日鉄、3位の住友金属工業が経営統合の方針を発表した。超大型の再編ニュース、しかも誰も予期しなかった組み合わせ、予期しなかったタイミングでの発表が株式市場全体に刺激材料となったのは間違いない。

 M&A(合併・買収)は今年に入り、世界中で急増している。一部調査会社の試算によれば、年初から2月第1週まで1カ月間のM&A発表額は前年同期比で7割程度も増加しているようだ。具体的には、年初から1カ月のM&A発表額は約25兆円。これは、2000年のITバブル期以来の高水準である。

 なぜ、今年に入ってM&Aが急増しているのか・・・。まず、目下の株価を割安と感じている経営者が多いためだろう。安いうちに買収してしまおうという魂胆であるとすれば、経営者目線では「今後株価が上がる」と読んでいると考えられる。

 さらに、景気の回復見通しが強いのではないかとも推測される。景気が回復するのであれば、国際的な競争力が不可欠だ。攻めの経営の一環として、M&Aという選択肢は有効といえる。国際的な競争力という点では、資源高に負けない経営体質という点も挙げられよう。これらを総括すれば、経営者は「景気・株・資源のトリプル高」を想定し、結果としてM&Aが増えていると考えられよう。

MBOが一大ムーブメントに!?

 日本でも、今年に入って毎日のようにM&A絡みの材料が発表されている。日本でとくに多いのが、MBO(Management Buyout)だ。これは、経営陣が自社の株式を買い上げる手法のこと。自社株を買い集めて、何をするかといえば「上場廃止」である。

 念願叶って上場を果たして「上場会社」いう立場を手に入れたわけだが、足元ではこれを自らの手で放棄してしまう例が相次いでいる。1月に入って発表された主な企業としては、業務ソフト開発のワークスアプリケーションズ、ワインの輸入販売のエノテカ、「TSUTAYA」を運営するCCC、引っ越し大手のアートコーポレーションなど。

 ここ数年はMBOが目立っているといっても、ペースとしては月に1本といったところだった。昨年でいえば年間で10社がMBOで上場廃止となったが、今年についてはわずか1か月ちょっとで昨年の年間本数ペースの積み上がりとなっている。いずれも上場廃止基準にひっかかっているような会社ではない。それだけ、上場を維持しているメリットが小さいということで、「グッバイ、株式市場!」といった気運が非常に高まっているのだ。

 投資家目線でいえば、持っている株がMBOを発表すればガッツポーズものである。なんといっても、TOB(株式公開買い付け)の形で株式を集めるため、現在の株価よりもはるかに高い値段で買い付けてくれるのが魅力だ。

 銘柄によって異なるが、発表日の終値の4割近いうえの値段がTOB価格になることが多い。翌日は当然その値段にサヤ寄せしようと買い気配になる。株価上昇を期待して持っていたとしても、MBOに応じる形で売却できるのであれば万々歳だろう。

 MBOが相次ぐというのは、言い換えれば、日本株市場が「上場を維持するほどの魅力的な市場ではない」ということ。日本の投資家としては喜んでいいものか悪いものかわからないが(多分喜んではいけないが…)、結果的に、これが投資家にとってお宝チャンスのようなものを生んでいるわけだ。では、なぜ上場維持の魅力が薄れているのだろうか?(次ページへ続く)


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著者プロフィール

  • 真行寺(シンギョウジ)

    兜町の人脈拡大を真面目に行なっている。金融業界の裏事情に精通し、一部のファンから熱烈な信頼を受けている。

     

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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