デリバティブ売買システム一新!
2011年2月14日、大阪証券取引所(以下、大証)で新しいデリバティブ売買システム「J-GATE(ジェイゲート)」が稼働しました。
それと同時に、取引時間の見直し、マッチング・ルールの見直し、値幅制限制度の見直し、サーキット・ブレーカー制度の見直し、日経225miniのマンスリー限月取引の追加、等々さまざまな取引制度の変更がなされました。詳しくは、大証の「日経225先物・オプション取引制度見直しのご案内」(PDF)をどうぞ。
大証のホームページによれば、「J-GATE」が導入されたことで、注文発注時間が短縮され、処理能力が以前の15-20倍となり世界最高水準のシステムになったそうです。
これらのさまざまな変更の中で、証券関係者も個人投資家も最も関心が高かったのは、これまでの前場(9:00~11:00)、昼休み(11:00~12:30)、後場(12:30~15:10)というシステムから、一場制(9:00~15:15、昼休みなし)に変更されたことでしょう。
事前のアンケート調査ではプロ・アマ問わず「昼飯の時間がなくなるのは困る」「一場制反対!」との声が大勢でしたが、大証は「投資家の利便性や国際的な市場間競争力を向上させる」、「一場制とすることで、以前は対応できなかった昼休みの外部環境の急変に対応できるようになる」を御題目に昼休みを廃止しました。
たしかに、本家大証の225先物が動いていない昼休みの時間帯に、シンガポール市場のSGX225先物が動いていていることに違和感はありました。そして、SGX225先物が大証の昼休み中に大きく動いた場合に、大証の後場の寄り付き値がSGX225に鞘寄せすることに、なにか釈然としないものはありました。
しかし、昨年から、特に昨年12月から、指数先物の値動きが極端に乏しくなっている現状では、前場終値から後場寄り付き値のギャップが、ディーラーや個人投資家など短期筋の大きな収益機会になっていたことは事実です。
今回の「J-GATE」稼働により、投資家の利便性は向上したかもしれませんが、ある種の収益機会が奪われたことも確かではないでしょうか。
いつでも手掛けることが出来る、いつでも急変に対応出来る利便性とは、逆説的には、「敢て今」手掛ける必然性はない、急変へ備える必要性が低下する(急変が起きてから行動すればいい)ということでもあります。然るべくして、投資家・投機家の売買意欲は低下し、急変へ備える必要性(ヘッジニーズ)も低下し、出来高、値動きが低下したという面もあったと考えることも出来ます。
現物株式市場の活況に対し、株価指数先物の閑散
TOPIXは2月17日まで9連騰。日経平均は2月21日で6連騰。株式市場の売買高、売買代金は増加傾向を見せていました。特に株価が上伸びした2月16日の東証一部の売買高は26億株、売買代金1.8兆円、2月17日は売買高24億株、売買代金1.8兆円と、活況と言える商いとなりました。
一方、日経225先物の出来高を見ると、J-GATE稼働初日の2月14日以降、薄商いが続いていました。新システム稼働を投資家が見極めようとすることは当然で、出来高が減少することはおかしなことではありませんが、それにしても現物株式市場に対し指数先物市場が薄過ぎると感じた参加者は少なくなかったことでしょう。(次ページへ続く)