東京都債と日本国債どっちを買う?
リビアを筆頭とする中東情勢の混乱から、オイルショックのような状況に陥りつつあります。そんな中、日本では心配した通り政治の混乱が悪化し、外資系格付け会社は日本国債を格下げ、日本の格付け会社であるR&Iも「日本国債のAAA維持はそろそろ限界」との認識を表明しました。
もし日本国債が安全資産でないと考えるなら、市場はどうあるべきかを考えてみました。

日本国債の状況を整理する
日系格付け機関R&Iは3月7日、「日本国債のAAA維持はそろそろ限界」との認識を示しました。日本国債はどのような状況にあるのでしょうか?
日本国債の状況は、2つのポジティブ要因と2つのネガティブ要因に集約できます。
ポジティブ要因
1. 日本は製造業の競争力が高く安定的に経常黒字を確保している。また、多額の対外債権を持っている、つまり外国からの借金はゼロである
2. 国債の発行残高が多いものの、国債はほぼすべて国内で消化されており、政府の管理の及ばない国外保有者が多い米国、南欧諸国などとは事情が大きく異なる
ネガティブ要因
1. 歳入の半分以上が赤字国債で補填され、国債の発行残高が急増している。また、少子高齢化の進展から今後も歳出の増加が見込まれる
2. 政府には徴税権があり、最終的には国債は償還されると期待されているが、その徴税権を発動するはずの政府が機能不全に陥っており、危機が起きても法律改正などの対応ができない可能性がある
日本国債はデフォルトするか?という議論は、この4つの論点がほぼ独立した形で噴出するため、結論にたどり着くことはありません。
現在の状況は継続可能ではないと認識されているものの、今すぐ破綻してしまう決定的な要因もなく現在に至っています。今回、格付け会社は4つめの論点「政治の機能不全」を重く見て格付けの変更を行っています。
日本国債が危機に陥るいくつかの要因
危機が叫ばれ始めて10数年、結局何事もなく無事に乗り切ってきた日本国債ですが、実際に危機に陥るいくつかの要因が見えてきているので、確認したいと思います。(次ページへ続く)