今回が連載の最終回です
実は、僕の連載も今回が最終回になります。
思い起こせば2007年の秋、以前OmegaChartというフリーのチャートソフトを作っていたのできっかけで翔泳社さんから声がかかり、確か当初はシステムトレード入門というテーマで連載を依頼されました。
ですが、システムトレードを本格的にやろうとするとどうしても数学・統計・ソフトウェアの知識が必要になりますし、手軽に試せるソフトウェアもほとんど存在しないため、書くのも読むのも退屈になってしまう心配がありました。
MONEYzineというサイトの性質上も軽い読み物のほうが読者にとってよいだろうということで、必ずしもシステムトレードに話題を限定せず(むしろそうでない回のほうが多数を占めました)、途中テーマを何回か変えつつこれまで毎月連載をさせていただきました。
幸いにも編集部は寛容で、僕の思いつきのままほとんど制約なく自由に書かせてもらいましたので気軽に楽しく続けることができました。きっちり企画を詰めてから書き始めるようなスタイルだったらこんなに長くはできなかったと思います。
そこで今回はこの全連載を振り返って、まとめらしきものを書いてみようと思います。
僕の専門はソフトウェアで、10歳でプログラミングを始めて以来、いま34歳なので、かれこれ24年間も仕事と趣味の両方でソフトウェアを書き続けていることになります。
一方で相場の世界も大好きで、大学生のときに株に手を染めて以来(さすがに10歳で相場は張りませんね)、個人の取引ではFX,先物/オプション,CFDも含めていろいろやっています。この間、9.11同時多発テロ、ライブドアショック、リーマンショック、そして今年の大震災と相場の大変動をリアルタイムに体験してきました。
負けたトレードも勝ったトレードも無数にあり、たぶん勝ちの合計も負けの合計もそれぞれ数億円になるでしょうが、差し引きすると数千万円のプラス、というのが現状です。
ですが、僕がトレードをする理由は単に勝って利益を上げることだけではありません。もちろん利益は極めて重要な要素ですが、相場はそれ自体が立派なエンターテインメントなのです。勝つにしても負けるにしても、そのトレードに十分なワクワクドキドキがあるかどうかが、僕の中では大きな価値基準になっています。勝つ可能性が高くてもつまらない取引には手を出しませんし、負ける可能性が高くても「意義のある」トレードならチャレンジするのが信条です。
「相場」は一級のゲームとしての魅力を完璧に備えている
このように考えるようになった背景には、僕が昔からゲーム好きだったことがあるでしょう。小学生~高校生のころは狂ったようにゲームばかりしており(とくに、PC-9801シリーズ用のゲームには思い出がたくさんあります)、ゲームの面白さの本質については今でも一家言あるつもりです。
相場の世界をはじめて知ったのは10年ちょっと前の東大在学中のころでしたが、調べるほどに「これだ!」という思いを強くしました。これこそが究極のゲームであると確信したのです。これまでのゲーム遍歴は相場の世界に出会うための前座に過ぎないとまで思いました。(次ページへ続く)