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富裕層も下流層も、税金払う気なし!
ギリシャ危機の背景に、脱税推進社会あり

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 ギリシャ危機の背景には、税金の不払いがあるようだ。その金額、なんと6兆円にも上るという。はたして新政権は、お気楽でいい加減な国民から、税金を徴収できるか。

ユーロ諸国はギリシャ国民に“骨抜き”にされるのか?

 ギリシャの名画に『日曜はダメよ』という往年の名作がある。ギリシャのピレウスに住む娼婦イリヤと、ギリシャ研究者でギリシャのすべてをこよなく愛する米国人のホーマーとの物語である。

 舞台はギリシャの港町で、陽気で奔放な娼婦のイリヤは町中の人気者だ。好きな古典悲劇の鑑賞のために、日曜だけは客を取らない。しかも、悲劇をハッピーエンドと勘違いして喜んでいる底抜けの楽天家である。

 そんな彼女に、ホーマーは惚れ込んだ。彼はイリヤに、何か教養や道徳を仕込もうとするが、反対に酒と歌と踊りで「もっと人生を楽しみなよ」と骨抜きにされてしまう。たわいないコメディーだが、今回のギリシャ危機に、重なるところがあるのではないか。

 真剣にギリシャ危機を避けようと試みるユーロ諸国の思惑とは別に、経済的に苦しくても、歌や酒など人生の楽しみを優先するギリシャ国民の楽天さに、最後はあきらめ顔で苦笑しながら、援助を決めてしまうという構図だ。

 今回のギリシャ危機は、財政再建に向けた新政権が発足したことで、当面回避される見通しは立った。しかし、これまで古代ギリシャの観光資源だけで成り立ってきた国が、一気に世界経済の鍵を握ることになろうとは、誰が予想しただろうか。

 世界中のマスメディアがギリシャの政局と国民の動きに注目し、固唾を飲んで見守っていたのである。その一方で、ラテン系民族特有の能天気な国民性は、この危機をあまり深刻にしないような緩衝材の役割を果たしていたのかもしれない。

ギリシャの富裕層は税金を払わず、豪奢な生活を楽しむ

 そんなお気楽な国民性だから、富裕層も下流層も国家への信頼が薄く、納税意識も低い。否、低いどころか、納税などまったくする気がないのが現状なのだ。

 読売新聞(2011.11.7付)によると、首都アテネ中心部にある企業団体幹部の自宅居間の床には、ピカピカに磨かれた大理石が敷き詰められ、棚には40種類の高級酒がずらりと並んでいるという。 裕福な家庭は、プール付きの家や高級車などを持ち、優雅な生活を楽しんでいる。専門家の指摘によれば、彼らは「税金はほとんど払っていない」そうだ。

 また、独ウェルト紙によると、財務省の脱税摘発部署が、高級住宅地で有名なアテネ近郊のエカリ地区で、高所得を示すものとして自宅プールの有無を申告するよう求めたところ、何と324件の申告があったという。 さらに、航空写真で確認したところ、その50倍以上の約1万7000のプールが確認されたのである。

 国家が捕捉できない脱税、汚職などの闇経済は、ギリシャの国内総生産(GDP)の3割以上を占めるといわれる。

 このような脱税が横行する背景について、あるアテネ在住の会計士は、「課税関連法規が無数にあり、手続きが複雑な上、数年ごとに改定される。このため合法的に脱税できる抜け道が多い。徴税作業も、専ら手作業に頼るため作業が追いつかない」と構造的な問題を指摘している。(次ページへ続く)


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