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日本の国債が暴落したら日本株は上がる?

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2012/03/08 12:00

最近は原稿チェックがなく情報発信できるためか、裸の王様が増えたためか、「日本の国債暴落に備えて日本株を買おう!」などという暴論が闊歩している。権威のある人の発言でも疑ってかからないと痛い目を見ることになるだろう。(バックナンバーはこちら)

債暴落に備えて日本株を買え

 最近は情報発信する方が増えたためか、一般に権威があるとされるメディアや知識人の発言であっても、十分に内容が吟味されないままのコメントが増えているようです。

 最近気になったものの中に、「将来日本の国債価格が暴落する可能性が高いが、その時には日本株は上がる。だから日本株に投資しよう」というものと、「過去20年日本はデフレで円高だったから、少子高齢化が進んでも円安にはならない」というようなものがありました。実際の経済がどう動くかは誰にも分からないのですが、少なくとも過去の他の国の経験や経済理論から「それはおかしい」と思われるものは鵜呑みにした場合のリスクが極めて大きくなります。

日本株は出遅れ調整が期待できるが、将来は未だに暗い?

 2月半ばの日銀の金融緩和策をきっかけに、大きく円安に戻し、日経平均も急上昇しました。また、時節柄、11月から4月まで米国株や日本株が堅調となる「半年効果」があり、その中でも2月から4月までは特に堅調な展開となりやすい傾向にあります。マクロ指標と相場の織り込まれた時間軸をもとに日本株を買っても大丈夫な期間を探る私オリジナルの「DOIモデル」でも、先週末に2010年2月以来約2年ぶりに買い転換となりました(DOIモデルのコンセプトと過去のパフォーマンスは拙著「勝ち抜け!サバイバル投資術」にて説明しています。なお、外れても責任は持てませんので、投資は自己責任でお願いします)。

 ただし、あくまでこれは上値が限定された循環的な値動きと思われます。NYダウは2007年のリーマンショック前の水準まで戻していることを考えれば、日経平均が春先に上昇して仮に11,000円~12,000円になったとしても「半値戻し」でしかありません。

アジア危機の際の韓国の例を見てみると

 論より証拠で、アジア危機の際の韓国株の値動きを見てみましょう。アジア危機の際に韓国ではウォンが売りたたかれ、国債が暴落しました。金利は急騰、金融機関だけでなく多くの企業も危機的な状況になりました。1997年6月末に77.50だった韓国株価指数200種は1998年6月には34.37まで55%も暴落しています(出所:ロイター)。実際には韓国ウォンの価値が下がっている分、購買力はさらに落ちていることになります。

株価と金利の関係は?

 株価と金利の関係は、理論的にも簡単に説明が付きます。株価は、1株当り利益×株価収益率(PER)と書くことができます。株価収益率は一般に金利が高ければ下がり、金利が安くなれば上がります。つまり、安く資金調達できるなら株式に求めるリターンも下がり、お金が調達しにくいなら条件がきつくなると言うわけです。「金利が上がれば株価が下がる」のは株式投資の常識なのです。

 さらに実体面から考えても、国債が暴落し、金利が高騰するような局面では、金融機関の多くが問題を抱え、融資を絞り、資金繰りに困る企業の破綻が増えます。だから、「日本国債が暴落する事態に備えて日本株を買うべし」というのは、外国の先例でも、理論的にも明らかにおかしいといえます。

過去20年デフレだったからこれからも円暴落はない?

 1990年始めの株・不動産バブル崩壊後、日本は金融政策の結果としてデフレ体質のままでした。この失われた20年の間に日本は先進国最悪の1000兆円にも達する公的債務を抱えることとなりました。また、日本の経済規模もGDP世界第2位から第3位に転落しました。それでも円高となっていることから、「日本円の暴落は無く、円高は進む」という主張が見受けられます。

 しかしながら、今までの20年と、これからはかなり状況が異なります。放漫財政の結果、公的債務の増加ペースが加速しつつあります。現在の1000兆円という水準でも、仮に長期金利が5%になるような状況になれば、国庫の税収すべてが利払いだけ消えてなくなります。そうなると、即、財政破綻ともいえるでしょう。

 また、経済規模に関していえば、高成長を続ける中国は今後人民元の切り上げも予想され、日本がGDP第2位に戻る可能性は限りなくゼロに近いといえます。

 決定的な違いは、早ければあと数年で、日本が慢性的な経常赤字国になる可能性が高いことです。いままではいくら公的債務が積みあがっても、実需の円買いがありました。それがなくなるのです。

 まず、1990年頃に頭打ちとなった日本の生産年齢人口(15歳~64歳)は、長期減少トレンドに入っています。この世代は貯蓄に励む世代です。今後は高齢者だけが増え、貯蓄を使うことになります。この結果、マクロ経済の恒等式から、財政赤字を修正しない限り、慢性的な経常赤字体質になる可能性が高いと予測されます。

 実体面でも、日本の国内産業の空洞化と国際的な資源価格の高騰から、貿易赤字ひいては経常赤字が慢性化するものと考えられます。

 こうなると、「財政破綻が近い経常赤字の国」の通貨を外国人が買う理由はありません。日本人も何かのきっかけで競って外貨を買い始めるでしょう。そう考えると、日本円は将来暴落する可能性が高いといえます。

投資に活かすなら

 日本株が堅調なときは日経平均や個別株のコールでタイミングよく稼ぐことは有効と思われます。また、いつ起こるかわからない円暴落に賭けた短期ポジションをとる合理性は低いといえるでしょう。しかしながら、「日本国債が暴落した時に備えて日本株を買う」とか「日本円の暴落は絶対に無い」という疑問の余地がある主張を鵜呑みにして投資戦略を立ててしまわないような注意が必要と思われます。

 さて、次はテーマを変えて、「正常化」の逆を先読みしてみます。現在の円高修正・株高を「正常化」と称する金融関係者もいるようですが、「正常でない」状態に逆戻りするシナリオを先読みして準備しておくべきです。(次ページへ続く)


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