騙したはずが騙された
これからお話するギャンブル詐欺の手法をご存じだろうか。
詐欺師はある者にこのように話を持ちかける。
「俺は長いことイカサマトランプで稼いできた。けれども、イカサマを使ってカモだけが負け続けた結果、危うくイカサマがバレそうになったことがある。そこで、俺と一緒に組んで、カモと一緒に負けるフリをしてくれないか。もちろん、カモから巻き上げた金は山分けにする」。
話を持ちかけられた者は、最初は半信半疑であるが、実際に2・3回詐欺師と一緒にグルとなって巻き上げた金を山分けする。このことで、詐欺師に対する疑惑の念が解消される。
その頃、詐欺師から「明日は飛びきりのカモを相手にする。金持ちでギャンブル好きのバカ息子だ。明日はいつもの10倍のレートだ。ケツの毛まで抜いてやるから、あんたもいつもより沢山掛け金を持参してくれよ」と言われる。
その者は喜び勇んで、できる限りのお金を掻き集める。親戚一同を駆けずり回り、ありったけのお金を集める。そして、詐欺師はイカサマトランプを用いて、バカ息子から金を巻き上げ続ける。またそれと同時にグルとなっている者も負け続ける。
グルとなっている者は、表面上では負け続けて怒っている素振りを見せているが、内心ではバカ息子が負けるたびに嬉しくてたまらない。そして、バカ息子が持ち金すべてを使い果たしたところで、今回のギャンブルは終了する。
その後、詐欺師とグルとなっていた者が別の店に移り、山分けの話をしていたところに、バカ息子が怒り狂って乗り込んでくる。そして、
「貴様ら、グルになって俺を騙したな! ただじゃおかねえぞ!」と怒鳴り散らす。
興奮状態のバカ息子に対し、詐欺師は 「何を言っているのですか。そんなことがある訳ないでしょう」 となだめるとともに、グルとなっていた者に 「今はこの場を離れよう。3時間後に○○で落ち合って山分けの話をしよう」 と耳打ちしてその場は解散する。
怒り狂ったバカ息子が実は…
このとき、グルとなっていた者はまだ何も気づいていなかった。(次ページへ続く)