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現場を見なかったエコノミスト、現場を語った2ちゃんねる

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2008/01/22 10:30

2) マスコミやエコノミストの認識不足

 筆者がこの問題を始めて耳にしたのは8月初旬、日経BPというサイトにあった記事でした。「これは一大事」という直感から自分の周りに意見を聞いてみると、株式のアナリストはほぼ全員法律改正と混乱のことを知っていましたが、債券のアナリストやエコノミストは全く知らない、知っていても極めて楽観的な立場という有様でした。

 その証拠に、6月以降株式アナリストの認識を反映して建築や建築材料関係の株は弱含む一方、8月末に発表された7月の新規住宅着工で、「大幅な減少」を予想したエコノミストはほとんどいませんでした。9月になってもエコノミストの認識不足は続き、一握りのアナリストが住宅建設の大幅な減速を予測する一方、ほとんどのエコノミストがマイナス10%からマイナス20%の弱い住宅着工の落ち込みしか予測しませんでした。

 実情を理解し、事態と影響の深刻さを訴えるエコノミストは少数派に留まる一方、実態を理解しないエコノミストによって作られた楽観的な見通しが日銀やマスコミを含めて多数意見になってしまい、根本的な対策は採られることなく時間だけが過ぎていきました。

 事態の深刻さが認識され始めたのは10月になってからで、エコノミストは住宅着工予想を大幅に下方修正し、新聞テレビなどのマスコミでも大きく取り上げられるようになり、ようやく国土交通省も事態の深刻さを認め抜本的な対策を採り始めました。

 法律改正が施行されて丸々3ヶ月以上も注目されることなく放置され、事態を悪化させてしまったという意味で、無理解のまま放置したエコノミストや日銀による人災という言い方ができるのではないでしょうか。

「誰も国や国民のことを考えていない」のか

「誰も国や国民のことを考えていない」のか
この言葉は 「三原淳雄の辛口経済コラム」  (MONEYzine) から拝借したものですが、今回の「お家騒動」を一番よく表している言葉かもしれません。幕末の混乱期にも関わらず、世界で起きていることは全く見ることなく、幕閣たちは役所での自分の立場だけを追い続けているのでしょうか。

 官僚は省益を優先、エコノミストたちは同業他社や社内の動向やヘッドライン、日銀は自分達の金融政策の方向性だけに目を奪われ、一番肝心な国や国民の動向は全く見ていないのでしょうか。

 国土交通省にも言い分があると思いますが、現実に今回の「改正建築基準法」の影響でGDPは年率でマイナス1%程度減少し、建築関連の倒産が増加しています。このような「失政」に対して国に保障を求める権利はないのでしょうか。

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著者プロフィール

  • 課長 今調査役(カチョウ イマチョウサヤク)

    大学院で物理学を志すも途中、島耕作にあこがれ金融業界へ。本職は債券市場と計量分析のアナリスト(自称調査役)であるが、お金の流れを追う過程でマクロ経済、株式、商品、アセットアロケーションなどを学び、株の銘柄選択以外すべてに通じるマルチアセットアナリストとして、多方面で活躍(予定)。日本人として日本人の資産をいかに有効利用するかを生涯の目標とする。
    好きな言葉 「潮が引いたとき、誰が裸で泳いでいたかがわかる」

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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