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ライツオファリングの投資機会を考える ~エー・ディー・ワークス(3250)のライ

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2012/10/15 18:00

ライツオファリングとは、上場株式会社が新株予約権を全ての株主に対して無償で割当て、権利行使されることによって資金調達をする手法。
全ての既存株主に新株予約権が割り当てられるため、株主の利益保護に配慮されている。株主は権利行使(払い込み)を望まない場合は、新株予約権を市場で売却できる。
過去には2010年にタカラレーベン(8897)が実施した例があるのみであり、今回のエー・ディー・ワークスが二つ目の例となる。まだ、なじみが薄いこともあり、一般の個人投資家には手を出し難い面も強いと思われる。しかし、逆にそれだけにチャンスがあるかもしれない。

エー・ディー・ワークスは、10月16日時点の株主に対して1株に対して1個(=1株)の新株予約権を交付する(既に10月11日が権利付最終日で10月12日が権利落ち日)。新株予約権1個につき4000円を払い込むことで普通株1株に転換できる。
10月17日に新株予約権は上場され(コード:32509)、売買が12月7日まで可能となる。なお、新株予約権の行使期限は11月19日から12月13日となっている。

これについては、4つの投資機会が存在すると考えられる。
一つは、新株予約権と普通株の価格差を利用したスプレッドである。新株予約権の理論価格は、普通株の株価から行使価格である4000円を引いた値になると考えられる。権利落ち後の12日終値が4,745円であるから、この時点での新株予約権の理論価格は745円である。新株予約権の価格がこれを下回るのであれば、新株予約権を買って普通株をカラ売りし、新株予約権を行使して相殺すれば差益が得られることになる。ただし、売買手数料並びに信用の貸株料(場合によっては逆日歩がつく)を注意しなければならない。タカラレーベンの場合は新株予約権の価格が理論値よりも常に5%前後低く推移した模様である。

二つ目は単純なカラ売りである。前述のスプレッド取引が多く発生すれば、普通株の買いよりも売りが圧倒的に多い状態が発生する。その結果として、普通株の株価は新株予約権の行使期間が始まると同時に売り圧力が高まり、株価が押し下げられる可能性が指摘できる。

三つ目は新株予約権を最終売買日付近に購入する方法。売り圧力が強まることから普通株の株価は限りなく予約権の行使価格である4000円に近づいてゆく。新株予約権が数円レベルであればこれを購入し、行使期限最終日の株価を見て行使するかどうかを判断する(新株予約権の売買最終日が12月7日、行使期限が12月13日でやや差がある)。新株予約権の売買最終日を過ぎるとスプレッドを狙ったカラ売りがなくなるために売り圧力が弱まり株価が急騰する可能性がある。

四つ目は、4000円に近づいた株価を拾って長期保有する方法。仮に新株予約権が全部行使された場合でも13/3期予想EPS(会社計画利益をベース)は800円程度が見込まれる(4000円で購入すればPER5倍)。また、全部行使されるならば5億6千万円の資金調達が達成されており、財務基盤も強化されている。全部行使された場合のBPSは10,000円弱であり株価4000円ならばPBR 0.4倍。理論的には既存株主にダイリューションは生じないことから行使価格は割安な水準で設定されている可能性が高い(そうでないと権利行使が起こりにくい)。

タカラレーベンのライツオファリングは行使率が95.7%であった。エー・ディー・ワークスも高い行使率を達成できれば、ライツオファリングを行う企業が急増する可能性も考えられる。そういう面では、今回は積極的に参加しないまでも、じっくり観戦する価値はあるのではないだろうか?

                                                               藤根靖晃

(当コラムは、投資手法についてアイディアを提供するものであり、当該証券の売買を推奨するものではありません。取引をされる際には投資家自自身の判断と責任で行ってください。詳細についてはエー・ディー・ワークスのホームページで詳細をご確認の上、新株予約権の売買取扱い証券会社にお尋ね下さい)



【提供:TIW



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