個人信用情報の5要素で最も重要な「返済履歴」
こんにちは、ラッセル・カマーです。この連載は、日本の皆さんにもっと「個人信用情報」を理解いただき、主体的に改善に取り組むことで、よりよいマネーライフを手に入れるお手伝いをすることを目的にしています。
今回から月に1回ずつ、個人信用情報に掲載される5つの要素を、自分自身でどうコントロールしていくかについて説明していきます。今回は5つの要素の中から、「返済履歴」を取り上げます。
なお、本原稿での「個人信用情報」は、支払履歴を含め、これまでのローン・クレジット利用履歴の情報を意味します。また「クレジットスコア」は、個人信用情報を分析し、信用力を判断するための基準として算出したものとして定義しています。クレジットスコアは、クレジットレポートに掲載される信用力の指標とご理解いただければと思います。

融資を提供する金融機関にとって最も気になるのは、ローンを申請した人が「今までのローン支払いを期日通り払ってきているかどうか」です。そのため、返済履歴は、審査に活用される個人信用情報の中で最も重要とみなされます。
返済履歴の中でも、とくに影響力が強い4つの項目
返済履歴もさらに細かく分けられます。中でも、特に影響力が強いのは以下の4項目です。
①それぞれの契約口座に対しての支払い情報
契約口座には、ビザ、マスターなどのクレジットカード、提携小売店鋪で発行されたクレジットカード、住宅ローン、自動車ローンなどの定期的なローン支払いなどがあります。携帯電話の本体代金の分割払いもローンに含まれます。
②債務不履行になったローン件数
この部分は評価に大きな影響を与えます。金額が少ない履歴や、かなり以前の履歴だと影響が多少小さくなる可能性はありますが、最近の未払いだったり、金額の大きいものだったりすると、より大きく評価に影響する傾向にあります。特に、債務不履行があったまま契約口座が閉じられた履歴は、閉じてからも個人信用情報に5年残ってしまうので、注意が必要です。
③支払いが遅れた、支払い忘れの詳細
どれくらいの期間遅延したか、どれくらいの金額が遅延したのか、遅延が発生したのは最近かどうか、そして全体で何回遅延が発生しているのか、といった部分がチェックされます。基本的には、90日の延滞よりは、60日の延滞の方がまだ影響は少ないでしょう。
ただ、延滞が最近発生していたり、頻繁に発生していたりするという要素もクレジットスコアには考慮されます。つまりは、5年前の90日延滞よりは、1ヶ月前の60日延滞の方がスコアには影響が大きいといった具合です。
④延滞の発生していない契約口座数
当然ながら、延滞のない返済履歴が残る契約口座が多ければ多いほど、クレジットスコアは向上します。(次ページへ続く)