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吉野家、売上増も利益減
時間、注文方法、食材調達で差別化へ

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2013/10/15 12:00

 今年4月に、ついに業界最大手の吉野家も定価を100円引き下げ、御三家と称される牛丼チェーンの看板商品である「牛丼並盛」は、一律280円となった。この価格が吉野家の経営にどのような影響を与えたのか。

 先頃、牛丼チェーンの吉野家を運営する「吉野家ホールディングス(本社:東京都北区)」は、2013年3月から8月期の連結業績を発表した。発表のうち、吉野家だけの数字をみると、売上高は前年同期の437億9,500万円から467億5,100万円と増加したものの、利益は前年同期の14億4,200万円から3億9,700万円と大幅減となった。主な原因は食材の原価高としているが、利用者の来店頻度や客単価の伸び悩みなど、牛丼という商品自体の売上の不振も見逃せない点だろう。

 では、どうすればこうした課題を解消できるか。価格には触れられない。かといって、定番の集客術である新メニュー投入は、長期戦には向かない。そこで、味には絶対の自信を持つ吉野家では、さまざまな展開を試みている。

 例えば、新商品以外に既存商品を生かして来店促進と客単価のアップを図ること。例えば「時間」だ。牛丼並盛が1杯280円に対して、吉野家の朝定食は8種350円から490円と、単価も70円から210円の増加となる。そこで9月から、競合する牛丼チェーンの朝定食の販売時間帯が5時から10時や11時までのところ、吉野家は4時から11時まで拡大。朝活ブームの胃袋を狙う。また、10月はマニアックな注文方法「アタマの大盛」を商品化した。これは具(アタマ)は大盛で、ご飯は並盛となる一品。これまでも口頭では注文できたが、今回は380円と新価格も設定して大々的にアピールしている。

 また食材調達は、地元農家との共同で設立した「吉野家ファーム」事業で、安心・安全の確保とコスト削減を目指す。皮切りは2009年の神奈川で、現在は牛丼の具であるタマネギや、サラダや漬物に使用するキャベツや白菜が主な生産物だ。そして今秋は、新たに福島県にも設立。来春からは野菜以外に、牛丼用の米づくりも予定されている。

 さらには、廃棄される食材対策もリユースで経費節減だ。サラダなど商品化の際にゴミとなる野菜の外葉は、一部を動物のエサとして東武動物公園(埼玉県)へ無償提供。そして店舗で出た生ゴミは、吉野家ファームの肥料に活用し、循環型の農業に取り組む。

 年々多様化する消費者ニーズ、増えることはあっても減ることはないライバル。さらに来年は消費税もアップする。逆風が吹き荒れる中、努力の結果は数字に反映されるか。吉野家の今後に注目が集まる。

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