MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

貿易赤字11兆円!から予想する日本の将来像 物価狂乱、年金大幅カット、原発再稼働ならどう投資する?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2014/02/05 08:00

 2013年の日本の貿易収支が過去最大になったのはなぜ? 原因から見えてくる日本の将来と、それにあわせた投資手法とは。

 2013年の日本の貿易収支は、過去最大の11兆4,745億円の赤字となりました。ほんの3年前までは貿易黒字だったので、まさに潮目が変わったという感じです。

 「貿易赤字? ピンとこないなぁ。私にはあんまり関係ないし……」と考えるのは早計です。実は、都知事選の争点にしようとする動きもある原発問題、最近あまり聞かなくなった年金・老人医療・生活保護などの社会保障問題、最近話題になり始めた物価高とも関係があるのです。

 いずれ迫られることになる日本国民の三択とは……。

原発停止が貿易赤字の主因であることを正しく報道しない日本のメディア

 元総理が2人並んで反原発演説をすれば、黒山の人だかりです。また、百人力の発信力を持つ“声が大きいインテリ”には原発再稼動反対論者が多く、「原発を動かさないでも日本経済は回っているじゃないか!」「ほら見ろ、だから経済界と癒着した政府の言うことは信用できないんだ」と言う主張を繰り返しています。

 しかし、ほんの数年前まで日本の総発電量の約3割を占め、54基もあった原子炉をすべて止めた影響は少なくありません。原発停止分を補うために、液化天然ガス(LNG)を使う急ごしらえのガスタービン発電設備や、非効率な旧型を含めた石油火力発電所はフル稼働です。

 その結果、2010年に17.4兆円であった鉱物性燃料の輸入額は2012年に24.1兆円、2013年には27.4兆円に増えています。3年で10兆円もの増加です。これにより、貿易収支は2011年の東日本大震災以降に急激に悪化しています。

日本の貿易収支の推移(出所:財務省)
  • 2009年 +2.7兆円
  • 2010年 +6.6兆円
  • 2011年 2.6兆円の赤字
  • 2012年 6.9兆円の赤字
  • 2013年 11.5兆円の赤字

 一方、貿易赤字の急拡大に対して日本のメディアがどう報道しているかというと、ちょっと微妙なところがあります。

日本企業が生産拠点を海外に移したこともあり、輸入額の伸びが輸出額の伸びを上回り、円安が進んでも輸出が数量ベースで伸びにくくなっている。(M新聞)
財務省が27日発表した2013年の貿易収支は過去最大となる11兆4,745億円の赤字で、3年続けて輸出額が輸入額を下回った。対ドルで2割以上の円安となったが、輸出量は前年比1.5%減った。生産の海外移転や新興国企業との競争で、輸出が伸びにくい構造だ。(N新聞)
 財務省が27日発表した2013年の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は11兆4,745億円の赤字で、過去最大の赤字幅となった。火力発電のための燃料などの輸入が円安で割高になった半面、円安が追い風になるはずの輸出が伸びなかったためだ。 (中略)輸入額は前年比15%増の81兆2,622億円で、過去最大を更新した。全体の2割超を占める原油の輸入は16.3%増だった。震災後の原発停止で火力発電への依存度が増しているうえに、円安による輸入価格高騰が重なった。中国からのスマートフォンの輸入増加も全体を押し上げた。(A新聞)

 まず各紙が強調している為替レートの推移を見ると、平均レートでは2009年より円安ですが、円高が進んだ2011年、2012年にも貿易赤字が進んでいるので「???」となります。

 円/ドルレート(平均、出所:ロイター)
  • 2009年 93.6円
  • 2010年 87.1円
  • 2011年 79.4円
  • 2012年 80.1円
  • 2013年 98.0円

 輸入物価は、為替予約などの影響で数ヶ月から半年先程度先に効いてきます。2010年前半の為替水準は2013年前半とは大差がなく、原油価格もドルベースで同程度の水準であったため、2010年と2013年の数字は比較しやすく、やはり原発停止の影響は10兆円程度の燃料輸入増と考えてよいでしょう。2013年末に急激に進んだ円安の影響はまだこれからで、鉱物性燃料だけでも数兆円は輸入が増えることになるでしょう。

 なんらかの意図が感じられるのが「全体の2割超を占める原油の輸入は16.3%増」という箇所です。どういうわけか、原発停止後の急ごしらえの火力発電の主力で、昨年は17.5%も増加して7兆円にもなった液化天然ガス(LNG)を除いた割合にしてあります。鉱物性燃料全体では全輸入金額の33.8%にも達し、“2割超”とは相当印象が異なります。

 また、「スマートフォンの輸入増加も全体を押し上げた」とあります。確かに通信機は+24.6%増えて2.7兆円になってますが、自動車や航空機の輸送機器も+20.6%の2.8兆円、電子部品はもっと増えて+37.4%の2.4兆円で、スマホだけの金額が大きいわけではありません。

 さらに言えば、2011年、2012年と2年連続で減っていた輸出は、アベノミクスの効果で+9.5%で70兆円にしっかり増えたのにこちらは採り上げられません。一般に「Jカーブ効果」といって通貨安によって輸出が増えるには時間がかかります。

 そう考えると大手新聞には、この状況を単純化して「貿易赤字の原因はアベノミクスによる円安(政策の失敗)とiPhoneの輸入増(という日本経済の構造問題)」としておきたい意図があるのかもしれません。(次ページへ続く)


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5