見ているチャート、間違ってませんか?
株や為替相場などの値動きをチャートで見る際には、どのぐらいの期間で投資成果を期待するかという投資ホライズン(horizon)と、チャートの時間軸(計測の区切り)を合わせることが重要です。
しかし新聞報道などでは、1日ごとの値動きを示したチャートが何も考えることなくどんな記事にも使われ、それに対応する市場関係者のコメントと合致していないこともめずらしくありません。
自分が見るべきチャートがわかる「足(あし)の10倍法則」
株式でもFXでも投資を始めたばかりの方が「“にっそく”チャートのことなんですが」などと言ってしまうことがありますが、1日ごとの値動きを記したものは“日足(ひあし)チャート”と呼ばれます。3分ごとなら3分足(さんぷんあし)、5分ごとなら5分足(ごふんあし)、1週間ごとなら週足(しゅうあし)、1ヶ月ごとなら月足(つきあし)です。
なぜ様々な区切りがあるかと言うと、投資の前提としている期間が異なっているからです。どの程度の投資ホライズンにどの程度の区切りがよいといった明確な基準はありません。
とはいえ、一般に日足チャートで投資タイミングを考えるなら、想定する保有期間は数日〜2週間程度が多いのではないかと思われます。同様に、週足では数週間から2、3ヶ月、月足なら数ヶ月から1年程度でしょう。
仮にこれを「足の10倍の法則」としましょう。5分足なら50分、日足なら10営業日、週足なら10週間、月足なら10ヶ月前後の投資期間を前提に使うという意味です。
もちろん5分足チャートを5週間や3ヶ月の投資ホライズンに使っても、役立っていれば何でも良いので、絶対はありません。また、一目均衡表のように時間経過を考慮した特殊なテクニカル分析では、数ヶ月単位の投資に日足チャートを用いることもあります。
ポイントは、使っている当人が“投資ホライズンと見ているチャートの時間区切りをきちんと認識しているか“どうかです。
“朝買って数時間後には手仕舞う”ような日計り(ひばかり)取引に月足チャートを見ている人はまずいないでしょう。しかし、「一度買ったら数年は保有する」と考えているのに、日足チャートばかり眺めている人は結構います。
“足の10倍法則”を使えばこのミスマッチを避けることができます(次ページへ続く)。