現金はダメだが、天丼ならセーフ!?
まずは前提として「賭博とはなにを指すのか?」について、認識あわせをしておきます。賭博とは「偶然の勝敗により財物・財産上の利益の得喪(とくそう)を争うこと」。未来が予見できない出来事に対して、自らの価値あるものを賭けあって争い、その結果として「得」か「損」の結果がもたらされる、といった行為を指します。
では、この賭博を行うと、どうなのるのか? 刑法第185条および186条で、賭博を(常習)すること、開帳することについての刑罰が規定されており、その罰を受けます。ただし、賭博が何でもかんでも刑罰の対象になるわけでななく、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」とされています。
この一文の解釈について、法律家の間でも意見が分かれるところなのですが、判例にはその場で消費される天丼やたばこといったものはシロ、金銭を賭けた場合は1円でもクロ、というものがあります(なお予備知識として、これらの判例は戦前のものだということを付け加えておきます)。
以上が、日本における賭博についての基礎知識です。
合法とグレーが入り乱れている状態
さて日本の法律上、賭博が犯罪であることを整理してきましたが、実生活において私たちは多くの賭博をすることができます。ここからは、この矛盾について見ていきます。
日本には、一般的な社会生活の範囲で行える賭博が以下の5系統あります。
1.競馬、競艇、競輪、オートレース
2.宝くじ、toto
3.パチンコ、パチスロ
4.麻雀
5.オンライン賭博
これらは思い立ったらすぐにでも行うことができるわけですが、結論からいってしまえば1,2のみ合法、3,4,5は合法ではない(違法でもないグレーな存在)というのが実際のところ。グレーな賭博が、日常生活と隣り合わせに存在しているわけです。そして問題なのは3,4,5に参加する人たちが、これらの法的位置づけを気にかけることなく、賭博に熱中していることだといえます。
以降では、この”異常事態”ついて考えるために、それぞれの賭博をめぐる環境について整理していきます。