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「10人に1人がギャンブル依存」 トンデモ数値が1人歩きしている理由

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2014/07/31 08:00

 カジノ議論が活発になり、参入表明する企業が増えてきました。いよいよ本格化してきた議論ですが、カジノが抱える負の面「ギャンブル依存」については情報が錯綜しているようです。今回はその整理をしてみたいと思います。

成人男性の9.6%がギャンブル依存症…というのは恣意的なトリミング

 賭博がもたらす悪影響の一例として、日本におけるギャンブル依存者の多さを指摘する声があります。彼らの主張は、次のようなものです。

 「成人男性の9.6%、女性の1.6%がギャンブル依存症(厚生労働省調査)」
 「諸外国の数値(約1~3%)と比較すると、異様に高い数値である」

 しかし、この数値がやけに世間離れしているという違和感を持つ人もいるのではないでしょうか。ここでは同データに関する、さまざまな誤解を解いていきます。

飲酒調査のついでにギャンブル調査も行われた

 まず「どんな経緯から調査が行われたのか」を見ていきましょう。

 上記の数字を導いた調査は、「わが国における飲酒の実態ならびに飲酒に関連する生活習慣病、公衆衛生上の諸問題とその対策に関する総合的研究」という報告書において行われたものです。簡単に言えば、飲酒の実態を調べるついでに、関連性の高いであろうギャンブルについても調べてみた、といった副次的な立ち位置。決して、賭博問題を主題とした取り組みの中での調査ではないのです。

 次に「どんな調査だったのか」を確認します。

 これは無作為抽出方法により成人人口から男女7,500名を抽出した標本調査でした。アメリカで開発されたSOGS(サウスオークス・ギャンブリング・スクリーン)という”病的賭博”診断の基準が用いられました。これは12の質問から成るアンケートで、その答えから算出した点数が5点以上ならば、病的賭博と診断されるものです。

 この質問内容には、以下の問題点があるものだと認識しておく必要があります。

(1)アメリカと日本とでは賭博の環境が異なるという考慮がない
(2)上記から5点以上というカットオフポイントの妥当性に欠ける
(3)アンケート形式は点数がつきやすい(実際より高い数字になる)

 そして「どんな考察をしたのか」です。

 報告書では、SOGSについては妥当性の確認が済んでいないため、結果はあくまでも暫定値として扱う、としています。またそれに伴い、カットオフポイントを6点、7点にした数値も記載しています。ようするに「男性9.6%、女性1.6%」という数字は、あくまでも暫定ですよ。基準を変えれば「男性6.9%、女性1.1%」あるいは「男性4.4%、女性0.9%」になりますよ、と言っているのです。

 なお、この資料は『厚生労働科学研究成果データベース』の閲覧システムで、文献番号「200825026A」を探すと見られます。


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著者プロフィール

  • 鹿内 武蔵(シカウチ ムサシ)

    株式会社東京カジノラボ代表取締役。FX情報誌を中心にマネー系メディアの執筆・編集に携わったのち独立。カジノゲームのルールとIR法案の最新情報を発信する総合的カジノメディア、東京カジノラボを運営。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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