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合格率約26%の狭き門、観光ガイド「通訳案内士」
観光立国に向けて改善が進むか

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2014/08/03 18:00

 2020年には、年間訪日外国人旅行者数2000万人を目指す日本。昨年は、史上初の1000万人を突破するなど、一見すると観光立国・日本に向けての足どりは順調のようだ。しかし問題も少なくない。例えば、プロの観光ガイドである「通訳案内士」も、そんなひとつだ。

 以前から改善すべきではと指摘されていた通訳案内士。去る7月に総務省が発表した「外国人旅行者の受入環境の整備に関する行政評価・監視〈調査結果に基づく勧告〉」でも、一考の余地ありとなった。

 通訳案内士とは、高度な語学力と専門知識で外国人観光客をもてなし、報酬を得るプロの観光ガイドだ。言語の種類は英語や中国語ほか全部で10。活動可能なエリアにより、通訳案内士、地域限定通訳案内士、特例通訳案内士の3つのタイプに分けられている。そして職業に就くには、筆記と口述の2つで構成された国家試験(受験料は1言語1万1,700円、主管は国土交通省)に合格しなければならない。

 しかし晴れて試験に合格しても、通訳案内士で生計を立てられるのはごく少数派。地域限定通訳案内士にいたっては、試験を実施するのは沖縄県のみとなっている。観光ガイドで、唯一活動の機会が拡大しているのは、ボランティアガイドというから、何とも皮肉な状況だ。

 国家試験自体も疑問視されている。通訳案内士の試験が難し過ぎる点だ。受験者数は、2007年の9,245人をピークに減少しており、昨年は4,706名となった。合格率も、昨年こそ史上最高の25.5%となったが、2012年までは例年10%台となっており、合格は至難の業だ。

 ネックとなっているのが筆記試験で、とりわけ日本語で答える日本の地理、歴史、そして産業・経済・政治・文化に関する一般常識は、かなりの勉強が必要だ。受験者もここで約8割が脱落し、口述試験には進めない。長年日本で生活する人でも、答えに窮する設問が、外国人観光客のガイドに必要なのか、また知識はあとで補うことも可能であり、試験に出題するより知識を習得する機会の充実を図るべきともいわれている。

 真面目で勤勉、そして何ごとも恥をかかぬように最初から完璧を期すのは、日本人の自慢できる特徴ではある。しかしミスや失敗などの経験を重ねてこそ、スキルもアップするのが、人とのコミュニケーションだ。どうも言語となると英語教育と同様に、日本人の特徴はマイナスに作用してしまうのかもしれない。とはいえ観光庁の方針は、外国人観光客をサポートする観光ガイドを増やすことだ。

 今後、試験内容は、職業として成り立つためにはどうするなど、観光立国の実現には不可欠な存在である通訳案内士を巡っての議論は、まだまだ続ける必要がありそうだ。

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